5人目・とある学園生〈エピローグ〉
私は馬車の中。
ロイ様も馬車の中。……ロイ様、かなり窮屈そうにみえるけど。
周りは部下の方たちが護衛してくださって、私たちは北の辺境伯領に向かっている。
しかし、先ほどからロイ様の様子が変だ。
どうしよう、私から声をかけた方がいいのかな、と思っていたら、ロイ様が口を開いた。
「手を、つないでも、いいか?」
びっくりした。
ロイ様、そういうの苦手そうだから、当分先のことかなって思ってたから。
私が驚いていたら、ロイ様が慌てて。
「手を、つなぐ、だけだ、その、……ヘンなことは、しないから」
……ロイ様のいうヘンなことって、どの程度のことだろ?
お貴族様の場合はよくわからない。
そうそう、エカテリーネ様からアドバイスをもらったんだよね。
庶民と貴族じゃ、当たり前と思うことが違うから、思い込まずにすり合わせした方がいいって。
「ミーナ、嫌なら、嫌と言って、いや、言わないでほしい、いや、君の嫌がることを、したいわけではなく」
……とうとう、ロイ様が挙動不審になってしまわれた。
「ロイ様、私も手をつなぎたいです」
そう言って私から手を差し出せば、ロイ様が驚いた顔をして。そして、しっかりと手を握り返してくれた。
ロイ様、嬉しそう。そして私も嬉しい。
すり合わせは、おいおいということで。
馬車の窓を開けてもらって、ロイ様に聞く。
「この道、ずっと行くんですか?」
「そうだ、北まで続いている」
続く道に、これからの物語を思い描く。
きっとそれは、ハッピーエンドで終わる恋物語のよう……だったらいいなあ。
窓の外には、さわやかな風と。
どこまでも晴れ渡った空が広がって。
「ロイ様、見てください。いい天気ですね!」
ところで。
ロイ様が馬車の中で見せてくれた魔導具、なんだけど。
あの凄腕の魔導具士さんが作ったもの、らしいんだけど。
この魔導具、どこかで、見たことがあるような気がするんだけど。
気のせい、かな?




