3人目・とある子爵令嬢〈エピローグ〉
恒例となったお茶の時間ですが、今日は場所を移して、四阿で長めの休憩とのこと。
クライス様、朝からずっと執務室にこもられていたから、良い案ですね!
侍従の方が用意してくださったお茶と焼き菓子を、二人でいただきます。
リフレッシュ効果のための会話だけど、そんなことどうでもよくなるくらい、この時間が嬉しい。
何より、今日のクライス様を表すならば。
そのお姿に、呪いの跡が添えられて、味わいがあり。
でも、どれから食べようかと迷われているお姿に呪いの跡が加わると、いつもの印象とのギャップがたまらない。
クライス様が眉を寄せる。
「常々思っていたが、いったい君の頭の中は、どうなっている?」
どうと言われましても、例えば今ならば。
「クライス様の容姿端麗なお姿に、呪いの跡が哀愁のように添えられ、味わい深い魅力となっておりますね。
でも、どの焼き菓子から食べようかちょっと迷われますと、呪いの跡があることでお茶目さがより引き立てられ、いつもの理知的な印象とのギャップがたまりません!
と、思っていました」
クライス様が何とも言えないお顔をされる。
「これを私が言うのはどうかとも思うが。本当に、君の頭の中は、私でいっぱいだな」
それは……、まさにその通りです!クライス様、よく分かっていらっしゃいますね。
クライス様が呆れたようにため息をつく。
「まあいい。とりあえず言っておく」
「はい、何でしょう」
「愛している。
この言葉を言ってもいいと思うくらいには、私は君を気に入っている」
……。
……。
……。
一生聞けないかもと覚悟していた言葉を、クライス様からいただけるなんて。
「嬉しさのあまり、死にそうな気分です」
「君はまた、極端だな。まあ死ぬな。
それよりも、そんなに私が気に入っているなら、一生隣で見ていればいい」
……。
……。
それは。
もしかして、もしかしなくとも、プロポーズと解釈してもよろしいでしょうか!?
これまた、一生聞けないかもと覚悟していた言葉を、もうひとついただけるなんて!
「天国か、もしくは地獄に行けそうな気分です」
「どっちもやめておけ。そんなところに行く暇があるなら、仕事しろ」
極めて現実的なお言葉、ありがとうございます。
つまり、やっぱり 一生隣で見ていればいい、ってことですよね!!
「クライス様、あたし、これから一生ずっと幸せだと思います」
クライス様が、呆れたようにこちらを見た後、ふいと視線をそらせてしまいました。
でも、あたしにはわかりますよ、たぶん。
クライス様、照れてますね?




