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距離感ゼロ

 うそうそうそ。ちょっと待って、よーっく思い出す妹との会話…。最推しルートのキーポイントが今の場面じゃない!?

 なんで私で?かき氷で魔王の胃袋掴んだの?ええーー……


「あ、あのルーク様っ」

「何だ?」

「色々とお聞きしたいのですが…」


 聞きたいことは沢山ある。その前に


「もう少し離れてくれませんか…?」


 気づけば腰を抱かれている状況にこれ以上は駄目だと両手で魔王の胸元を押すが全く動かない。こっちは長年バカ王子の婚約者だった為、他の男性との免疫が全くない。どちらかと言うと細身で同学年だった王子と違い、しっかりと出来上がった体形の男性に腰を抱かれてしまえば身動きが出来ず挙動不審に視線を彷徨わせるしかない


「何故?せっかくこうして腕の中にいるのに?」

「だから距離感ー…!」


 全く聞いてくれないー!微笑と共に顔を寄せてこないで、本当にもう限界なんですっ

 面白がっているのか本当に離れてくれない。これでも全力で押してるのに。せめてものと顔だけは背ける


「ここ昨日まで何もなかった筈なんです、どうして魔王城になっているのですか?」


 今日一番聞きたかったこと。近すぎる魔王に目も閉じて聞く。


「俺が住むと決めたからだな。何か不都合が?」


 ふむ、と一言置いてからさもありなんと返事をする魔王。いやいや不都合ありまくりですって!魔王城が隣にあるって人間側からしたら大騒ぎです!

 私のスローライフプランが早くも終わった…と実感した瞬間。あぁ、夢の飲食店…


「ルーク様はここを拠点に人間側へと攻め込む気ですか…?」

「それも面白そうだ」


「え!?」


 サーっと血の気が引いた私が見上げるとニヤリと口元に笑みを浮かべた表情が。


「冗談だ」


「ええぇぇぇ…」


 絶対ぜったい私で遊んでる!不敵な笑みに何も言えなくなってしまう私はやはりいつもと違う。チップ相手にこんな感情にならない。やっぱり推しは尊い…


「私は何故呼ばれたのでしょうか…?」

「気に入ったからだ」


 ええぇぇぇ…。先程声に出てしまった叫びを心に留めた自分を褒めたい。気に入ったから、うん。魔王らしい発言ですね。そうですか気に入ったのですか、やはり好感度UPしてたんですね。かき氷すごい


「今日もかき氷をご所望ということで…」

「いや?気に入ったと言っただろう」


 かき氷が目的じゃないなら何でしょう…

 こてんと小首を傾げて見上げる。いつまで私は腕の中なのでしょうか。もう押すのも疲れてせめてものと魔王の腕を押してますが当たり前にびくともしません。


「ありがとう、ございます…?」

「理解したなら良い」

「…?はい。あ、こちらもありがとうございます、とても着心地が良いですわ」


 自分の胸元の漆黒の総レースを見てそういえばと思い出して礼を言う。シンプルだけど上品なこのドレスはサイズもぴったりで一体いつ用意してたのか…。もうドレスは着ることはないと思っていたので余計に嬉しく笑みが零れる


「…良いな。良い。うむ」

「……ルーク様?」


 ひとりぶつぶつと呟き頷く魔王。よく分からないけど良いならいっかと気にしないことにしよう。チップも心配していることだし、お隣さんとの挨拶ということだったのでしょう


「では、ルーク様そろそろ戻らせて頂きますね。チップも…」

「ならぬ」


「え?」


 今、何て?


「ならぬと言った。スカーレット、今日からで暮らせ。部屋へ案内させよう」

「暮らす…?って、えーっ、あの、家隣なので…っ」

「ならぬ」


 はっ!?私が驚いてぽかんとしているうちに案内をしてくれた男性とメイドが再び現れる。魔王が何か指示を出し終えるとようやく魔王の腕の中から解放される

 あれよあれよと別室へと案内され、実家に居た時の慣れで湯浴みにマッサージとぴっかぴかになすがままされてしまったのでした






「お嬢様、一体いつお戻りになるのでしょうか…」

「キェーーーーー!」

「キエエッ!」

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