今後の付き合いを少し見直す必要があるみたいだ
「まぁ、抜け駆けは禁止、正々堂々という事で意見が一致致しましたので、それに達也君とは良きライバルとしてお互い切磋琢磨して頂きたいと思っておりますのよ」
「は、はぁ。そうですか」
何がどうなれば良きライバルになるのか良く分からないのだが、ただ分かる事は小太りマダムも達也君のパパさんとも長い付き合いになりそうだという事は、何の根拠もないのだがそう思えた。
そして九名の大所帯となった面々は子供達に急かされる様に水族館へと入って行く。
まず見えて来たのは湿地や田んぼなど水辺周辺に生息しているコーナーである。
アマガエルは勿論メダカや蛇にイモリと田舎の用水路や田んぼなどでよく見る生き物達であり、都会でも川原や公園の人工池などで見ることの出来る生物達であるのだが子供達にとってはこれら身近な水辺の生物達でも大興奮で水槽一つでかなりの時間を使って三人仲良く観察している。
因みに私はというと極力視界に水槽が入らない様、細心の注意を払い移動していく。
万が一カエルや蛇、イモリに山椒魚などが視界に入ってしまったらと思うと気が気じゃ無い。
「こないだ男性相手に勇敢に戦ったというのに、こんな小さくて可愛らしい生き物達が怖いだなんて不思議ですわね」
と言うのは小太りマダムである。
この者、本当に女性かと疑いたくなる。
これら生物のどこが可愛いというのだ?
「ぬめぬめニョロニョロでどこが可愛らしいのよっ」
「あら、爬虫類や両生類達は皆意外と円な瞳をしていてそのギャップも相まってとっても可愛らしいじゃないですの」
うん、小太りマダムとの今後の付き合いを少し見直す必要があるみたいだ。
そしてどうにかこうにか水辺周辺に生息する生き物コーナーを抜け出す事ができ、エスカレーターで上に登り渓流コーナーへとやって来た。
そう、水辺から水中に舞台が変わった為爬虫類や両生類の姿が消え、代わりに上流中流下流をイメージして作られた長い水槽で様々な川魚が泳ぎ、その隣りの河原をイメージしている大きな水槽では二匹のカワウソが気持ち良さそうに泳いでいた。
勿論、この水槽だけで私のスマホのストレージの容量はかなり減ったのは仕方の無い事であろう。
因みにカワウソに関しては真奈美も大興奮で大喜び。私と一緒に可愛いを連呼していた。
そして真奈美とカワウソとのベストショットが撮れるまで粘り、やっとのことで次のコーナーへと移る。
次のコーナーは海岸イメージしており浅瀬に生息している様々な海の生き物達が、水族館一大きな水槽で泳いでいた。




