声を出すことも出来そうにない
そして休憩室では私が落とした数枚の小銭の音が鳴った後、私の悲鳴に近い抗議の声が響くのだが誰も助けに来る気配が無い。
それもその筈で今日の私は年末年始のヘルプ要因でありいつもの決まった勤務時間ではなく人が足りない時間の部分に割り当てられて働くという形である為他の者と退勤時間も休憩時間も異なり、そして今の時間帯は基本的には交代の多い時間帯でも休憩にはいる人が多い時間帯でもない。
その事を思い出し私はただでさえ血の気が引いていたのが更に引いていく。
「そう嫌がるなよ。まぁ、嫌よ嫌よも何とやらと言うしな。君がこの俺を求めていた事くらいはあの時の一言で直ぐに分かったよ。でもこんなまどろっこしい事をしなくても電話すれば良いのに、むしろこのまどろっこしっさが逆に君は好きなんだね。あれかな?手紙の方がエモいし憧れるとかいう奴かな。意外と乙女チックな所もあるじゃないか」
コイツは先ほどから何を言っているのだ。
日本語を言っているとは到底思えない。
まるで他国の言語を話している様なそれくらいこの地雷社員が言っている事に何一つ共感できないし、何故そのような考えに至ってしまったのか意味が分からない。
ただ、理解できる事はこの地雷社員が嫌がる私を意味不明な理論で襲って来ているという事である。
「た、助けてっ!誰かっ!?助けむぐぅっ!?」
「なんで大声を出すんだ?そんな悪い子には俺お仕置きが必要だと思うんだけどなっ!?」
「うぐっ!?」
そして私は後ろから抱きしめられる形で捕まっている以上女性の私が男性の拘束から逃れる方法も思いつく事も出来ず、唯一できる抵抗として大声で助けを呼ぶのだが、口を手で塞がれてしまう。
そして地雷社員は私を反転させたかと思うとお腹を膝蹴りしてくるではないか。
その痛みに堪らず蹲り、嗚咽を繰り返していると地雷社員により髪の毛を掴まれ、しゃがんでいる地雷社員の目線まで持ち上げられる。
「うぐぅうっ………」
「なんで今君が痛い思い、苦しい思いをしているのか理解できているよね?君が悪い事をしたからだよ?もしあの場で誰か来たらどうするつもりだったんだよ?冗談では済まされないからね?次やったらこれじゃ済まないぞ」
今この瞬間を見られた方がやばいでしょうとは思うもののあまりの痛さで呼吸も上手くできず声を出すことも出来そうにない。
「良い娘だ。結局本気で説教すれば皆大人しくなるんだったら初めから余計な事をしてんなよって話なのに何で皆揃いも揃って同じ反応するんだろうね?何なの?バカなの?バカなんだろうね」




