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バツイチ子持ちとカレーライス  作者: Crosis


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はたまたその両方か

そんな事を思いつつ何とか綺麗に天ぷらを揚げる事が出来て、自分の賄い用ではあるもののホッとする。


ここ三日間は賄いで天ぷら続きなのだが初めて作った時と比べると明らかに衣がしっかりと纏っているのでこのまま連続でミス無く綺麗に揚げれる様に頑張って行きたい限りである。


「あら、ミス無く今日も綺麗に揚げれてるわね。コレなら明日は天ぷらを任せてみようかしら?」

「は、はいっ!頑張りますっ!」


そう心の中で意気込んでいると私の調理工程を見ていた師匠でもありここのパートでのイロハを教えてくれた先輩おばさんから合格を貰い翌日の天ぷらデビューが決まった。


前の仕事はデスクワークであり一応それなりにやり甲斐もあったのだが、仕事が出来る様になる喜びと作れる様になる喜びはそれぞれ違った感覚で何だか新鮮な気分である。


そして何が面白いかと言うと、皆マニュアルに従って同じ材料で同じ様に作ってはいるものの直接教えてもらう人や、その人が元々持っている性格などで若干各々の個性が出て来る所も面白かったりする。


今では唐揚げならばある程度高い確率で誰が仕込んで、誰が揚げたのか当てれる程だ。


それこそ初めの方はしっかりと計りで測って作るのだが一年以上働いている人となると小麦粉と片栗粉、黒胡椒にすり下ろしたニンニクに生姜、味の素や塩の割合が目分量となるので衣かして若干の個性がで始める上に衣が好きな人とスタンダードが好きな人、衣が少ない人とで衣の厚さが変わって来る。


因みに何味かと聞かれると恐らく醤油ラーメン味の唐揚げで、ラーメン屋さんの唐揚げと言った味付けである。


と言うのも味付けに使う醤油タレがスーパーで売ってる様な醤油ラーメンのスープの素(業務用)だからである。


コレには流石の私も成る程と唸ったものである。


デスクワークでは最終的には自分のやりやすい様にしても良いのだが最終的に誰がやっても全て同じ状態で終わる様にしなければなら無い。


数字が一桁でもズレたら何処かにミスがあるからである。


だからこそ、個性がそれぞれあるのが面白いし、私はどんな個性になるのだろうと今から将来私が作る唐揚げの予想をしてみたりするのも面白く感じる。


因みに小太りマダムは基本に忠実、マニュアル通り1グラムの狂いすら許さ無い徹底振りだったりする。


彼女曰く「コレがこの店の唐揚げへの最大限のリスペクトですもの。私の好みの味付けは家で作りましてよ」だそうである。


真面目なのか唐揚げが好き過ぎるだけなのか、はたまたその両方か。

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