将来何かしらの大物になるのでは?
ずるい。
そう言われては食べない訳にはいかない。
恐らく元夫は私の今の経済状況も把握しているのだろうし、真奈美の為に別途貯金もしているのであろう。
そして、その事から元夫は新たに結婚して、新しい家族を作るつもりが全くない事が窺えてくる。
その元夫の、幸せの日常を奪い去ったのは私だ。
「ありがとう」
いったい、今元夫はどのような気持ちで私の前に現れ、私にチェロスを奢っているのであろうか?
真奈美と合うのだって私抜きでもいいはずだし、チェロスも奢る必要は無い筈だ。
勿論それは元夫の真奈美に対する深い愛情である事は分かるのだが、だからこそ今真奈美と離れ離れになった原因である私にまでこうして良い夫を演じなければならないというのは。きっと生半可な覚悟ではないであろうし、それこそ身を切る思いなのかもしれない。
「どうした?行くぞ。真奈美お姫様がお呼びだ」
「え、ええ。今行くっ」
私はこの元夫に何を返せるのであろうか?何をしてあげられるのであろうか?
私如きが元夫に何か返そうとしたところで、きっと断られるのだろう。
だけれども、れでもそんな事を思いながら元夫と真奈美が待つ場所まで小走りで向かう。
そしてなんだかんだで元夫と真奈美の三人でアトラクションを周り尽くし、あと乗ってないのは真奈美が乗るには早すぎるアトラクションだけとなった。
何だかんだでオーナーには悪いのだが並ばなくてもアトラクションに乗れるのはなかなか良いものであると思うのだが、今はそれ故に私は真奈美姫様によるジェットコースターに乗りたいという本日最大の危機に陥ってしまう。
子ども故の飽くなき好奇心は恐怖心等軽く凌駕してしまうのか『怖いよー』『危ないよー』『落ちゃうかも』と半ば脅す様な表現をしてもジェットコースターを乗りたいと言う真奈美に、ジェットコースター系は大の苦手である私は覚悟を決め涙目で向かうのだが、身長制限により真奈美の身長が足りずに乗る事ができないと分かった時は地面に立ってられない程安堵したものである。
そんな私と違ってご立腹な真奈美は今、元夫に肩車をして貰い何とか機嫌は直してくれている。
そんな真奈美を見て、真奈美は私と違いジェットコースター系が好きな女性になるのかも。
なんなら幼いにも拘らずジェットコースター系に乗りたいというその旺盛な好奇心とスリルをものともしない胆力で将来何かしらの大物になるのでは?と親バカながらおもてしまう。
決してなんとかと煙は高い所が好きとかいうやつではあるまい。
そしてなんだかんだで一周したところで昼休憩の為に真奈美とマップをにらめっこしながら選んだレストランへと向かう。




