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バツイチ子持ちとカレーライス  作者: Crosis


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常識の無い息子

「違うでしょう?」


そしてその光景をみて私は土下座する小太りマダムの顔を上げさせて、目線を合わせて今すべきことは私に謝罪する事ではないと伝える。


「ち、違う………といいますと?」


いつの間にか小太りマダムは敬語に変わっているのだがいちいち突っ込むのも面倒臭いのでこの際無視して話を続けていく。


「今あなたがやるべきことは息子さんに注意をする事、やってはいけない事をしてはいけないと教える事、迷惑をかけた相手にはしっかりと謝罪をする事では?」


私は偉そうな事を言える立場なのかと思わなくも無いが、私とは違い取り返しがつく今の内に自分の立ち振る舞いを見直すべきであるという思いを込めて、過去の過ちを後悔している先人故にだからこそ取り返しがまだつくこの小太りマダムに気付いてほしいという思いを込めながら言う。


「もしかしたらあなたは叱らない教育をしているのかもしれないけれども叱らないという事は常識を教えないという事ではないはずです。あなたは常識ある息子さんに育てたいのですか?それとも常識の無い息子さんに育てたいのですか?常識の無い息子さんに育てたいのならば私は何も言いませんし、将来常識の無い息子さんに育った場合夫は周りからどのように見られるのか、もしかしたら『お宅の〇〇さんはどうなっているのか』と庶民からの苦情が殺到して職すら危ういかもしれませんね。それでも良いと言うのであればどうぞご勝手に」

「常識の無い息子………そんな………っ」

「人に石を投げる事を悪いと思わないのは常識があると思いますか?」


そして小太りマダムは一瞬ハットした表情をしたあと職員室を飛び出し「あなたが石を投げたのは誰ですのっ!!」「あぁ、真奈美ちゃんはあなたですのねっ!!わたくしの息子と一緒に職員室へと来て下さらないかしらっ!?」という声が聞こえたかと思うと小太りマダムは自分の息子を引きずるように連れて職員室へと戻ってくる。


「さぁ、まーくん。謝りなさい」

「やだっ!」

「じゃあまーくんは人に石を投げられてもわたくしは助けませんわよ」

「なんでっ!?」

「だってまーくんは人に石を投げる事を悪い事だとは思って無いのでしょう?」

「…………」


そして小太りマダムは自分の息子であるまーくんへと怒るでもなく言って聞かせるように話し始めるのだが当のまーくんは自分が悪いことをしたと分かっているのであろう。


だからこそ口を紡ぎバツが悪そうな表情で小太りマダムから目線を反らして泣きそうなのを我慢している姿が見える。

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