元気いっぱい風の子
そして私たちはどちらからともなくそういう行為をする為に高城の部屋へと行き、同じベッドで一夜を過ごすのであった。
初めての行為は自分が思っていたようなものではなく、お互いが未経験故にグダグダであったのだがその経験も今では懐かしく思うと共に大切な思い出でもある。
そして、一夜をすごして夢ではないかと思うのだが下半身の痛みが私は少女ではなくなったという現実を教えてくれる。
それは当時の私にとっては大人の仲間入りが出来たみたいで嬉しくもあり、それと共にもう少女には戻れないと言う一抹の寂しさを感じる物であった。
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真奈美とお昼ご飯を食べた後、二人で一緒に昼寝をしたのだがとても懐かしい夢を観た。
「……………十数年前の事を今更こうもはっきりと夢で見るなんて」
わたしの初経験の時の夢など見てしまうのは恐らく昨日の高城のせいかもしれない。
因みに高城はあの後ご飯を食べた後シャワーを浴びて身支度を整えると直ぐに出社して行った。
日曜日の休日出勤、働く事の大変さが伝わってくる。
取引先から緊急の電話があり、それを片付けに行くそうだ。
そんな事を思いながら私は真奈美が起きてしまう前に部屋の片づけと掃除を始める。
真奈美が起きてしまうと掃除どころではなくなる為掃除機は使わず箒を使い掃き掃除をした後雑巾で拭き掃除をする。
たったこれだけで三キロほど軽く走ったくらい疲れてしまうのだが休む事も無く水回りも掃除していく。
全てを終わらし、心地よい身体の疲れを感じていると真奈美が起き始めたようでゴゾゴゾと物音が聞こえてくる。
「ままぁーっ、おきたーぁっ」
「はーい。起きたらお布団を片付けてお洋服に着替えようか」
そして真奈美は目をこすりながらダイニングにいる私の元へとやってきて起きた事を報告しに来るので自分で敷き布団を片付けて着替えてくるように言うと文句も言わずに片付けてくれる。
この辺りは保育園で習慣づいているのであろう。
だが、自分で布団を片付けて着替える真奈美をみて優秀な子であると思ってしまうのは親バカであろうか?
だとしてもそんな些細な事でも真奈美の事が誇らしく、そして愛らしく思えてくると共に少しだけ感動してしまう。
これが親バカだと言うのであれば、私は全然親バカでも良いとさえ思える程には自分でも親バカなのだろうと思う。
「きがえたっ!!こーえんっ!!」
そして今日も今日とて真奈美は元気いっぱい風の子である。
早速上着も着ないで公園へ行こうとするので流石に上着と手袋にニット帽を被せてやる。




