表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/97

母親失格

今思えば夫が泣いている姿を見たのはこの時が初めてだったと思う。


「まま、足が痛い………」

「もう少しだから辛抱しなさい」


親からは縁を切られた。


不倫相手には「お前のせいで俺の人生はめちゃくちゃだ」と罵詈雑言を浴びせられながら捨てらた。


お前が私にメールをしてこなければ何も無かった。


人のせいにすんじゃねぇよと思うものの結局は私の心のゆるみと、弱さが招いたことには変わりない。


しかしながら不倫相手のせいにして私は悪くないと言い返した所でこの現実が変わる事はないことくらいはいくら馬鹿な私だとしても理解できたため不倫相手には何も言い返す事はせず、心の中で「私以上に苦しんで生きろ」と念じながら時間が過ぎるのを待ってた。


結局お互いに会社は世間体と社内の空気などを考慮してクビに、私の慰謝料は養育費と相殺で財産分与は無しの上離婚、不倫相手は六桁の慰謝料という形で私の浮気の幕は閉じた。


元夫は最後まで娘の親権を争ったのだが、男親が親権を取る事は難しいらしく娘の親権は私という事で決着が着いた。


もし私が不倫をしなければ今頃元夫と温かい家の中で笑顔を見せる娘と夫で食卓を囲み夕食を食べていたのかもしれない。


そんなありもしないたらればを考えては娘に抱き着き「ごめんね」と謝る事で自分自身も安心する。


そんな私は考えるまでも無く母親失格であろう。


こんな事ならば夫の下に行った方娘としては幸せだったのかもしれない。


そういう思考に陥ってしまう位には母親失格である。


そして私はぐずり始めた娘を片腕で抱きかかえると、もう片方の手で今の私たちの全てが詰まったトランクケースを持ち歩き続ける。


取り敢えず今は寝床だとなりふり構わずに親友だと思っていた人や友人だと思っていた人、元カレにも何人か連絡をしてみたのだが帰ってくる言葉は遠回しの絶縁宣言。


私の交友関係全てに今回の件が既に広まってしまっていた。


元夫のせいなのか元不倫相手のせいなのか今となってはどうでもいい。


ただ私がやった事の重大さを今この状況で今更ながら再確認させられるのはキツイものがあった。


そして私は遠い記憶を頼りに電車を乗り継ぎ何とか終電前に目的地まで着くとその前で力尽きるのであった。


「何やってんだ?お前」

「………あぁ、久しぶり。よかった、部屋合ってた」


いつの間にか私は娘を抱きかかえながら眠っていたらしい。


まどろみの中聞き覚えのある男性の声で覚醒すると、その声の主は思った通りの人物で安堵する。


「何をやってんだよ人ん家の前で」


この作品が二日目でカクヨムコン6恋愛部門週間ランキング23位になりました∩^ω^∩やったー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 慰謝料が六桁って少なくない? 浮気相手が独身じゃなく結婚してたら浮気相手の奥さんへの慰謝料が発生してましたね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ