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バツイチ子持ちとカレーライス  作者: Crosis


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全部嘘

優しい夫であった。


結婚する前も結婚してからも優しい夫であった。


不満などあろう筈がない。


文句を言うどころか「家事が趣味だから」と良く家の事や子育てを手伝ってくれた。


酒、タバコ、ギャンブルもしない。


仕事も残業こそ多いものの年収500万と別段多くも無いものの少なくないお給料を稼いでくれて、そのおかげで私は小さな頃に思い描いていて夢見ていた典型的なお嫁さん像、専業主婦でいられた。


一度社会に出てからはキャリアウーマンに憧れた時期が無かったかと言われれば嘘になるのだが、それでもやっぱり夫の帰りを待つ良き妻というものに憧れ、夫は「残業増やさなきゃな」とそれを許してくれた。


そして娘が産まれた。


娘はスクスクと育ち幸せは更に大きくなり正に幸せ絶頂の時だった。


娘は保育園に預けて私に纏った時間が出来た。


今思えばその時、心にほんの少しだけ余裕という魔物が住み着いたのかもしれない。


もうずいぶんと見なくなったフェイズブックを開くと過去の男性からのメッセージが来ているのに気付いた。


いつもならばブロックして終わりである。


しかしながらこの時の私はその男性と連絡を交わすようになった。


あからさまに下心があるそのメールの内容に初めは断っていたのだけれども、久しぶりに異性として見られ口説かれるという快感が全身を駆け巡り、彼と連絡をしている時だけが母親ではなくて女性となれた。


そして気がつけば私は最後の一線を超えた。


夫への罪悪感と、女性としての喜びが頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合って、今までにない快感を味わった。


味わったら最後、気がつけば私は時間さえあれば彼に会う様になった。


最近では彼と会う時間を作る為ならば家事育児は後回しになっていた。


そしていつしか夫を蔑み、娘が邪魔な存在に思え始め、夫有責で離婚をと考え出し策を練り始めた正にその時、弁護士同伴で彼がいつもなら絶対に帰ってこない時間帯に帰宅してきた。


ベッドには裸の私に同じく裸の彼。


言い逃れ等できよう筈がない。


そして突きつけられる離婚という二文字と多額の慰謝料。


その、考えもしなかった二つの言葉を聞き、どこか夢でも見ている様な感覚になった。


今思うと私は夫の優しさに甘えていたのだと、そう思う。


優しいから、夫なら許してくれる。


「寂しかったの」


そう思わず心にも無い言葉を、快楽に溺れ旦那を蔑ろにして離婚を突きつけられると不倫相手は切り捨てどの口がと思った。


「お前と娘の幸せの為に、今まで嫌な飲み会や接待で嫌いな酒を飲み、残業にクレーム処理に嫌な上司に媚を売るのも、それら全てはお前達の笑顔に繋がると思えば苦労とは思わなかった。むしろお前達の幸せに繋がると思うと誇らしくもあった。でも、それは全部嘘だったんだな」


全部嘘。


その言葉がどの言葉よりも深く深く胸に突き刺さった。

今現在カクヨムコン6に応募しております(*'▽')ドキドキでございます

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