迷い家での日常
本日も雄也の迷い家にて夕食を取る。
最近ファミレスで食べてここで食べての一日四食になってるな。
ダイエット考えた方が良いだろうか?
運動はやっとかないとだよね、これから追われる身になるかもしれないんだから身軽に動けないと。
追われ始めた時に太って動けませんでした、じゃ笑えない状況だ。
明日からランニングでもしようかな。放課後ならトラック走ってても誰も不思議に思わないだろうし。
食卓を囲み夕食を食べる。
今日はいつもの如く、雄也、根唯、葛之葉、土筆、私、来世がちゃぶ台を囲って食べ……
おいコラ来世、あんた敵なんだから屋敷入ってくんなっつってんだろ。
「宿ないんだよ。ここを追い出されたら路頭に迷う。そうなったらどうしてくれるっ!?」
「むしろそのままおっちんでくれれば私としてはありがたい、かな。一応敵だし?」
「酷いぜマイハニー」
ウザい、近寄るな。肩を抱き寄せんな。
その身体に付けてる香水は無駄にいい匂いだなオイ。
ぺしっと肩に乗った手を叩いて食事を行う。
つれないなぁ。といいながら自分も食事にあやかる来世。
出て行くつもりは皆無のようだ。
もう異世界来てるから出られないと言うのもあるけれど。
「雄也、今度からコレ、出しといてもいいよ?」
「んー。でも葛城君が可哀想だし、ほら、行くとこないって言ってるからさ。いいんじゃない? なぁ皆」
「有伽様は私が守るので大丈夫です。襲ってきたら殺してやりますわ」
「あはは、まぁあたしは賑やかな方が好きだで、別にええんよ」
「妾は気にせんぞ。葛城からは悪意感じんしの」
チッ、味方が居やがらねぇ。
「ま、そういう訳で俺が居るのは問題なさそうだよ有伽。このまま有伽の懐に入って俺のことしか愛せないのって言わせてやるさ」
「うん、馬鹿なのか。馬鹿なら仕方ないね放置が一番だ」
「うぅ、つっちー有伽が俺を馬鹿にするよぉ」
「私に言うなっ、近づくなっ。結局貴方は有伽様の敵ですの? 味方ですの!?」
「えー。とりあえず見定めてる最中ってことで」
ひょうひょうと土筆の言葉に返す来世。
見定めてる……ねぇ。
つまり、ソレ次第ではやっぱり敵になる可能性もあるってことか。
味方になる確率は低そうだし、敵扱いでさっさと殺してしまうのが良いんだけど……
なんで私は来世を殺す気にならないんだろう?
怪しいことはこの上ないし、裸螺やノウマみたいに斥候でしかない存在でもないのに。
こいつを殺そうと思うたびにソレはいけない、というか殺すべきじゃないって本能的に思ってしまうんだ。
殺そうと思えば隙だらけだから今すぐにでも殺せるのに。
彼を殺せない、いや、殺さない理由って何なんだろう?
食事が終わると、私は寝床へと向かう。
一応個室は割り振られているが。護衛を兼ねて土筆と一緒だ。
基本鍵なんてない襖で区切られただけの部屋なのでいつでも誰でも来れるんだけど。余程秘密の会議をする時は土筆と天井内部に隠れて話合いしているので、ここは寝るか女子会などで話をするための部屋になっている。
「さて、葛之葉からちょっと気になる話を聞いたのよね」
「むっふっふ。妾の知り合いがの、がんばっとるんじゃよ」
「しかし、本当に過去に戻るんなんて出来るのでしょうか。妖能力でもないのに……」
「ああ、それは問題ないのじゃ、が、ちょっと……のぅ」
今、私の部屋に居るのは私と土筆、葛之葉の三人だけである。
丁度男共が風呂に入っており、彼らが出てきたら根唯が呼びに来る手はずになっている。
根唯は何してるかって言えばちゃぶ台のある居間でお茶の時間だ。
もしかしたら畳みの網目の数を数えてるかもしれないけど。
「何か問題あんの?」
「うむ、奴は科学のスペシャリストというか、機械造りに人生掛けとってな。理論上は可能なはずなんじゃが、上手く行くかどうかはまだわからん」
おいおい、まだテストすらできてないのか。いや、むしろぶっちゃけ本番なのか。それ、ダメじゃね?
しかし、科学で妖能力に迫ろうってのはなかなか凄い試みだな。いや、でも昔からある物語にはタイムマシンとか出て来たりするから科学でも再現できる可能性はあるのか。
んー。あまり期待は出来なさそうだけど、明日にでも行ってみるかなぁ?
「そうじゃな。折角だし妾も案内してやろうかの」
「ああ、葛之葉が案内してくれるなら探す手間は省けそうね」
「私が探そうかと思ってましたがそれなら問題ありませんわね」
「んじゃ明日の放課後はあのお化け洋館に行くとしますか」
「うむ。了解じゃ」
私達は明日の予定を早々に組んでいた。
残念ながら予定通りに行かないなんて事、全く思いもしなかったんだ。
ラボはすでに、上陸していたと言うのに……




