表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一節 狐狗狸さん
93/182

いつの間にか大所帯

 時間潰しにファミレスにやって来た。

 いつもは簡素で殆ど人が居ないこの施設、本日は結構な人がいらっしゃる。

 そして学生服ばっか。


 とある一角に居るのは三太郎だな。

 桃田太郎と川北奉英が座り、対面に座る小星唯。

 この三人三角関係だったりしないんだろうか?


 別の場所では所沢生三と坂東勇作が口論していらっしゃる。

 付き合ってるらしい二人は結構喧嘩するそうで、二年ではかなり有名なおしどり夫婦(仮)なのだとか。つまらないことで喧嘩しては周囲を巻き込んで仲直り。周囲はたびたび砂糖を吐かされるらしい。


 さらに少し離れた場所に宇都宮纒と香月彩音。この二人はよくファミレス行くらしいので本日もここで時間を潰しているようだ。

 さらに本日は鋒鋩傑と桜井修一、川端茂辺地のカツアゲされ組も来ていらっしゃった。

 私に気付くと今日は金があんましないからこっち来たんだと。

 いつもこっちに来とけば金取られないだろ。馬鹿しかいないのか?


 私が席に案内されると、隣に楠葉がちょこんと座る。さらに対面にしれっと座る来世とその隣にどきなさいっとやって来る小雪。

 そして私の後ろの席に座った亜梨亜が私の首に手を回して照れた顔で覗き込んで来る。

 やめいうっとうしい。

 って、あれ? 亜梨亜、あんたの横に居るのって刈華じゃん。いつの間に?


「まぁいいか。レモンティーとパンケーキよろ、折角だし来世、支払いよろしく」

 

「え? まぁよくなくね!?」


「ほら、デートなら男子持ちでしょ」


「デート!? こんだけ外野いるのにデート!?」


「あ、来世さんだっけ、私餡蜜ー」


「かき氷イチゴ味で」


「ん。じゃあショートケーキ」


「私もパンケーキで」


「あれ? これ全部俺が払う感じ?」


 しれっと頼んだ亜梨亜、小雪、楠葉、ついでに刈華。

 何故か知らないが来世が全員分おごることになっていた。

 まぁ経費で落ちるからいいんだけど、とブツクサいいながら注文を店員に告げる。

 なんだろう、経費で落とすとか、翼ちゃんとファミレス居た時みたいだな。


「店員さーん。裸螺もパンケーキ、あと連れにマロンケーキ。そっちのお兄さん持ちで」


「ちょっと待てぇっ!? なんで俺が尾取枝とノウマの分まで払うことになってんだ!?」


 そして二人はなぜ普通にしれっと亜梨亜たちの対面に座ってやがるんだ? あとノウマ黒いお化け状態なんだけど、それでいいのか? こいつの本体見たこと無いな。


「うわ、なんか一杯いる!?」


 堂本小夜音、周茂美三留、觀月空枝がファミレスにやって来た。

 ついでに少し遅れて葛之葉と美園、根唯、和馬、縷々乃、紫乃がやってくる。昨日のコックリさん仲間だ。本日はアンサー君やってたせいで和馬が一緒なのだとか。

 アンサー君とは五台程の携帯電話を一斉に掛けると誰か一人だけが繋がって質問されるそうだ。それに正しい答えを行わないと身体の一部をもぎ取られるらしい。ソートフォンって空間で操作する奴じゃん、ちゃんとかかんの? 電話だけだからいいのか?


 願い事を何個か聞けて、最後に質問返される、だったかな。

 確か最初の質問使って最後に質問されることの答えを聞いとくのが攻略法だったと思うけど。

 まったく、こいつら危ない遊びばっかだな。その内本当に身体の一部もぎ取られるぞ?


「おー、有伽たちも来てたんだ。おはー」


「おはー。小夜音は元気だねー」


「放課後からが私の時間だしっ」


 私達の隣に座った小夜音達三人。彼女達から距離を取るように葛之葉達が座っていたのだけど、四人用の椅子に六人はちょっと無理だろ。あぶれた和馬と美園が仕方なく後ろの座席に回ってるな。

 なんやかんやで二人良い雰囲気で話盛り上がってるぞ。コックリさんとアンサー君の話だけど、無駄に盛り上がってやがる。

 そう言えば和馬の奴結婚が私達の中で一番早いとか言ってたよな。くっつくのか?


 さすがにソレは無いか。あの二人が……

 もう一度二人を見る。

 なんか、お似合いに見えて来たな。


「どうしたの有伽?」


「ん? いや、結局このファミレス利用してんのウチの学生だけだなって」


「確かに……」


 小雪が私の視線に気付いたので返答する。

 一応咲き始めた新しい恋を潰してはなんなので別の事を告げておいたけど、いらない世話だっただろうか?

 まぁ、茶化していろいろ台無しにするよりはいいか。

 私には関係ないところで適当に盛り上がっといてくれ。


 ところでホットケーキもレモンティーもまだ来ないんだけど、どうし……

 気付けば、店員さんが凄い焦っていらっしゃる。

 どうやらほぼ間をおかずに沢山やって来たせいで食事が全然造れていないようだ。

 まだ私達の番まで回って来てないだけらしい。


 とりあえずジュース類から先に……ああもう、ダメだ。くそ、なんでこう、身体がうずくんだ。

 無言で立ち上がった私はてんてこまいになっている店員さんに制服の場所を聞く。

 普通に答えて何故聞いたのか疑問に思った店員さんが何かを言う前に、勝手に着込んで出来た食事を持って行く。


 そう、高港市でファミレスのバイトしてたせいか、忙しいファミレスを見るとついつい手伝いたくなってしまうのだ。これはある意味職業病である。

 ああ、お金貰ってなかったからバイトじゃなくてボランティアだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ