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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一節 狐狗狸さん
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友達一杯

 芦田興輝が行方不明になって一週間程が経った。

 今の所ラボが動いた気配は無い。

 今まで通り、私の行動は尾取枝、ノウマ、そして葛城来世の三人により監視されているだけである。


 来世曰く、たまにうわんがやって来て定期報告受けたり、現状報告したりしてるらしい。

 でも、私の毎日を脅かすような敵は現れていない。

 当初こそ、もしかしたら早々に襲ってくるんじゃないか? と思っていただけに拍子抜けである。

 とはいえ、安心しきって油断する訳にも行かない。もしかしたらそうなることを調べるために三人は私を見守っているのかもしれないのだ。

 日々を送りながらもしっかりと周囲に気を配っておかないと。


 その為、最近殆ど私は皆と喋っておらず、ヒルコに日常全てを任せっきりになっていた。

 そのせいか、私が明るい人みたいになってしまっていて、友達感覚のクラスメイトが増えてしまっていたりする。

 今までは相生美薗、為替梃、たまに渡嘉敷縷々乃だったのだが……


「それ、可愛いね」


「ほんと高梨さん。えへへ。この前新入荷してたんだよウサギさんヘアピン」


 デフォルメされた赤い眼がチャームポイントのウサギの顔ヘアピンを付けて嬉しそうにしているのは周茂美三留。


「みみっちは素材がかわいーんだし、やっぱ似合うよねー」


「高梨さん、これね、小夜ちゃんに選んで貰ったんだよ」


「ファッション関係なら小夜音が一番先行ってるからね」


 今私の目の前に居るのは周茂美三留と堂本小夜音。そして觀月空枝のリア充組である。

 いや、リア充というよりはパーリーピーポーか。

 ポジティブシンキングの三人は性格はかなり違うのにいつも一緒にる姦し娘という奴である。

 美三留は笑顔の可愛い控えめな少女。とはいえポニーテールなのでやっぱりポジティブシンキングでプラス思考の少女。

 小夜音はギャル娘なので言わずもがな。彼女も象の鼻みたいなポニーテールだしポニーテール仲間で馬が合うのかもしれない。


 空枝はゆるふわウェーブの髪の娘。小夜音とよく馬の合う性格らしく、気が付けば最近の服装とかについて話し合っている。

 この三人と仲良くなったのはこの前、全員にアリバイ確認した時に小夜音と話したせいだろう。あのあとなれなれしく話しかけて来た小夜音にヒルコが対応していたらいつの間にかパーリーピーポーの仲間入りさせられていた。


 しかも彼らの怖い所は、一人勧誘したらその仲間ごとパーリーピーポーに仕立て上げようとするところである。

 御蔭で美園、梃、根唯、雄也が、ついでに縷々乃、そして縷々乃の友人である小峠紫乃が彼女達に仲間認識されてしまったのである。

 葛之葉? あいつは最初からパーリーピーポーなので除外である。


 さらに最近は雄也と仲のいい男子メンバーも仲間扱いしようとしているようである。

 ヒルコとしてもそこはいらないようなので皆して女子だけでいいじゃん、って牽制している訳だが、パーリーピーポー共に男女の差は些細なことなのだ。

 むしろ誰かと誰かがくっついた。とかの話はパーティー開く格好の材料な訳だし。

 別れても残念会とかで馬鹿騒ぎ。平和な連中である。

 まぁ、私だってグレネーダーに居た頃ならこういうのも悪くないかなって思うんだけどね。


 今は正直ウザったいとしか思えない。

 それに、私としてはもう一人勘弁願いたい存在が居る。

 そう、私を先輩呼ばわりして来る年齢的に先輩の男である。


 近藤礼治が何かと先輩先輩言ってくるもんで他の奴も楽しげに先輩呼ばわりして来るのだ。

 とくに美園とか梃とか小夜音とか。

 このままだと本当に渾名が高梨パイセンになりかねない。


「ぱーいせーん。お面をどうぞ~」


 そして話をぶった切るように入って来て謎のお面を渡して来る天然系おっとりお姉さんタイプの女。名を高足柚葉。面霊気の妖使いだ。この手渡して来たお面も彼女の能力で造った物と思われる。翁面をどうしろと?


「お友達に配ってるのよ~。ようやく造れたからどうぞー」


 間延びしたというか独特のゆっくりとしたしゃべりで告げる柚葉。


「あー、パイセン、それ柚葉っちが知り合い皆に配ってる奴だわ。私も貰ったし」


 だいぶ前だけど、と小夜音が苦笑い。

 パーリーピーポーといえども不思議ちゃんは苦手らしい。


「しっかし、高梨パイセンって女の子イケるんっすねー」


「ちょっと待ってよ小夜音さん、ワタシ普通の女の子だから」


「いや、既に大衆の面前で証明されてるから、言い訳無理だから」


 そう、芹先輩を襲った事は暮阿先輩が悪意を持って、亜梨亜と小雪が自分は有伽先輩の女だ。とか張り合った結果、小学生高学年組にも私の悪名が、そしてその二クラスからの噂で他のクラスへと伝播して行ってすでに私の悪行が全校生徒の知るところとなってしまったのである。

 なぜ、こんなことになったのだろう? 

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