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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三節 呉葉(鬼女・紅葉)
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最有力容疑者

「ちょっと、今、何て!?」


「え? だ、だから、一年のお前らのクラスに居るだろ、篠原哲司って奴。数年前から皆木と付き合ってんだよ。知らないのか?」


 おいおい、そりゃあ有力情報過ぎるだろ。

 なんだこの幸運。まさかの有力情報が向こうからやってきやがった。

 これが、根唯の力? いや、ただの偶然か。


「それで、だ。昨日な、篠原が皆木探してるの見ちまってさ、結局会わなかったのかな? どうだった? 篠原の奴すっごい機嫌悪くなってたりしてたか? あるいは無断欠席とか?」


「……そうね、無断欠席してる、かな」


 さすがに殺されたとは言えなかった。


「やっぱか。皆木の奴自分にとって利用価値無くなった奴には酷いからなぁ」


 ああ、暮阿先輩ってそういう存在か。

 成り上がり思考が強かったりすると利用するだけして邪魔になったら即ぽいっと捨てちゃうタイプみたいだ。

 そりゃショック受けるって、殺されてたけど。


「そう、わざわざ残って貰って悪いわね三人とも。話は以上です。ご協力ありがとうございました」


「お。おぅ」


「まー、なんだ、ちょっと頭冷えたし勇、ちょっとファミレス行こうか」


「え? あ、ああ。わかった。ちゃんと話し合った方が良いみたいだしな」


 バカップルは連れだってファミレスへと去っていった。

 そして小城先輩もまた。あんまし皆木に言わないでくれ、と言い残し去っていった。

 さて……新しい容疑者が出てきちゃったな。


「来世、聞いた?」


「今連絡入れた。ノウマが居場所探ってる。にしても……まさかの人物出て来たな」


「というか、篠原君に彼女居たこと自体に驚きだべよ」


 多分中一のクラスメイト達の殆どがその事を驚くと思うぞ。


「さぁて、元彼と出会う筈だった皆木暮阿、しかし元彼は死亡し、彼女は金持ちの彼とハッピーエンド。どう思う?」


 ヒルコに聞いてみたんだけど返って来たのは来世の声。


「そうだね。だいぶ黒に近い灰色、かな。まだ犯人だとは言えないよ」


 確かにその通りだ。限りなく黒に近い。でも犯人とは限らない。

 最悪金持ちの男が犯人の可能性だってあるのだし。

 出来るだけ早く問いただしてみたいが、さて、もしも犯人だった場合暮阿先輩はどうするだろう?

 彼女の妖能力って確か呉葉だっけ?


「来世、呉葉の妖使いってどういう能力か知ってる?」


「うーん? さぁ? 一応由来は知ってるよ」


 奥州会津に住む笹丸が、第六天魔王に祈願して妻との間に産んだ子供、それが呉葉という女性だったらしい。

 第六天魔王とか言われて思わず信長思い浮かべたけど、どうやら呉葉のいた時代では信長=第六天魔王ではなく、第六天魔王という神がしっかりと存在していたようだ。

 信長も前から居た第六天魔王という神が自分と同一だと名乗っただけなのだろう。


 ともかく、魔王の申し子とされる呉葉は美しい容姿と琴の才能を持つ野心家だったそうだ。

 豪農の息子から大金を騙し取り、都に上京すると、名前を紅葉と改め源経基みなもとのつねもとの側室となる。

 だが、そこで満足しなかった紅葉は正妻を暗殺しようとして企てが発覚し、信濃の戸隠山へと流刑されたのだった。


 その後改心したそうだが、なぜか盗賊の首魁となり平維茂たいらのこれもちにより討たれたそうだ。

 その時鬼女と化した紅葉が妖術を使ったらしいのだが、別所北向観音に祈願して加護を得た維茂により倒されたのだとか。ただ、改心した時の行いで里の人たちが敬っていたため紅葉を偲んだ紅葉祭りが行われることになったのだとさ。めでたしめでたし。……めでたいかこれ?


 たぶんいろいろと脚色されてるのだろうが、妖能力として出てくるとなれば、その妖術云々辺りだろう。鬼女ということもあり茶吉尼のように腕力も強いのかもしれない。それこそ片手で人の首を圧し折るくらいには。


 欲としてはほぼ確実に上昇志向だろうな。

 野心持ってて成り上がることが欲望。

 つまり、自分の欲望のために金持ちと彼氏彼女の関係になってるってところか。


 そして、正妻のように邪魔になった者を暗殺……

 いや、流石に考え過ぎか? 下手な決めつけは視野を狭めるし、今の段階ではまだ容疑者だ。

 犯人であるという確信はまだない。


「見付けたって」


「あ、もう? どこだって?」


「犯罪現場」


 来世の言葉に直ぐ近くだと分かったので早速移動することにした。

 全員に気を抜かないよう告げておく。下手したらいきなり殺しにかかって来る可能性だってある訳だし。

 そんな事を思いながら二年教室を出ると、低学年と先生の元へ聞きに向かっていた面子がこちらにやって来る所だった。

 多少時間を掛けたからか私達が一番遅くなってしまったようだ。

 丁度良いので現場に行くまでに成果を聞いておこう。

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