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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 塵塚怪王
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怪王と私

「見付けた!」


 海岸沿いで休んでいると、亜梨亜が追い付いて来た。

 ザッと立ち止まった亜梨亜が私達を睨む。


「まだ、冷静になったって訳じゃなさそうね」


「冷静です。だからこそ、なぜその変態を庇うんですか!」


「あんただって妖の欲については理解出来るでしょ」


「それでも譲れないモノはありますッ。私だって粗大ゴミと戯れたいとか思ったりもしますけど、皆の手前やったりはしません」


「こいつも皆に見られないように夜中にこっそり、でしょう?」


「それでも私の家じゃなくてもいいじゃないですかっ」


 こりゃ生理的に無理だったってことだな。


「それはそうかもだけど、三十年間殆ど洗ってない風呂なのが悪い」


「うっ!?」


 二の句が継げなくなった亜梨亜。

 口では敵わないと思ったのか周囲の無機物を空中に浮かせる。

 私達向け、無数の無機物が襲いかかる。


 ゴミ箱、レンガ、ゴミ袋に熊のぬいぐるみ。

 全て避けた先から海に突っ込んで行く。

 海を汚すなよ!?


 あー、これはどんだけ必死に説得しても無理なパターンだな。

 私は襟首掴んでいた近藤を来世に投げ渡す。

 そのまま亜梨亜向けて走りだした。


「亜梨亜、もうやめなさい、これ以上は遊びじゃすまない」


「遊びじゃありませんっ、そいつを守るなら先輩もッ」


「そう、後10秒、それで、留まらないのなら、あんたは敵だ」


 わざとラボに向ける口調で敵だと告げる。

 ゾクリとしたのだろうか? 亜梨亜が一瞬攻撃の手を止める。

 しかし、直ぐに気を取り直し、こちらに無機物の群れを飛ばして来る。


 右に左に華麗なフットワークで避け、無理そうな奴は草薙使って切り飛ばす。

 ゆっくりと10、9、8と数字を告げながら近づいて行く。

 焦り始める亜梨亜。

 しかし、近藤への生理的嫌悪の方が勝ったようだ。


「塵塚怪王ッ」


 ある程度まで近づいた時だった。

 亜梨亜の叫びと共に宙を浮いていた無機物達が亜梨亜の前へと集まる。

 ゴミ達が集まって出来たのは、巨大な人型のゴミ。


 ゲームや何かならゴーレムとでも呼べそうなそいつが、私に向けて歩きだす。

 動きは鈍い、と思ったのつかの間、物凄い速度で拳を打ちだす。

 奴の足に舌を吐きだし一気に身体を近づけることで回避。

 砂地が抉れ飛び、拳の周囲だけクレーターのように大穴を作る。


 高速で迫る私に驚く亜梨亜。

 慌てて無機物をこちらにぶつけるが、これは草薙で弾き飛ばす。

 勢い付けて塵塚怪王の足元を飛び越え亜梨亜に肉薄。


 逃げようと後退りした亜梨亜の前に降り立った私は、「ゼロ」と最後の言葉を吐く。

 愕然とする亜梨亜を抱き寄せ、その唇を奪い取った。

 何が起こったかは分からないだろう。


 本当なら私だってやりたくは無い。でも、これが女性相手なら一番効果的なのだ。

 ここからしばらくは誰にも見せる訳にはいかない、垢嘗の力を使った熱烈なキスだ。

 男二人が呆然と見てるけど仕方ない。敵を無力化させる方法なのだから手段を問うてる暇などないのである。

 と、自分を言い聞かせて無心で行う私だった。


 ……

 …………

 ………………


「お姉様っ」


 ひしっと抱き付きくねくね動く生物が誕生した。

 うん、まぁ、自分で作り出しといてなんだけど……なんで私は女にばっかりモテんだろうね。

 いや、まぁ、二人程男からアプローチは受けてるか。

 女装男子と敵だけど。


「す、すげぇっす梨高先輩」


「誰が先輩だ。同級生だろうが」


「いえいえ、人生的に遥か先をひた走る先輩には負けるッす」


 近藤が下っ端的存在になった。

 妖怪だからお前の方が遥かに先輩だろうが、何百年生きてんだ?


「いやー、熱烈過ぎて止めに入ることすらできなかったや。凄いなぁ、俺にもアレやってよ」


「彼氏になったらね」


「え? 彼氏じゃないの!? 告白したよね!?」


「返事はノーだ」


 誰が敵と恋仲になるか、バーカ。

 さて、とりあえず落ち着いてくれただろうか?

 亜梨亜の頭を撫でて落ち付かせる。


「さて、頭は冷えた?」


「冷えたというか、全身熱くなってますお姉様」


 あうっと顔を赤らめる亜梨亜。どうしよう、また一人罪のない女性の扉を開かせてしまった気がする。

 いや、私のせいじゃない。亜梨亜が悪いんだ亜梨亜が。


「とにかく、近藤の奴を許してやれとはさすがに言えない」


「ええっ!?」


「でも欲による行動だってことも加味して寛大な処置、できない?」


「それは……」


「それに、よ。三十年分の汚れを舐めて綺麗にしてくれるのよ? むしろ嬉しい事じゃない?」


「で、でも……」


「実はね、私も、垢嘗の妖使いなの」


「お、お姉様が!?」


 驚く亜梨亜。私の能力知らなかったっけ?


「だからさ、こいつが欲に負けたこと、他人事と思えないのよね。なんとか、許してやれない?」


 私の言葉に、んーっと唸る亜梨亜。どんな結論を出してくれるか、お願いだからこれ以上問題にしないでくれると嬉しいな。

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