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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 塵塚怪王
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怪しい三人

 結局、まだ推理するには証拠が足りない、ということで、私達は一先ず帰ってしまった三人に話を聞くことにした。

 まず向かったのは病院。

 模白弘樹が母の看病ということでここに来ているらしいのだ。


 この島唯一と言っていい総合病院。

 それなりにデカいのだが、人が少ない島国なのででっかい病院を存分に生かし切れていない。

 まぁ直ぐに自分の番になるから待合所で待つ必要がなくていいのか。


 総合受付に向かった私達は模白の病室を尋ねる。

 受付の看護師さんはまったく疑うことなく親切に教えてくれた。

 今、この病院に入院している模白さんは一人だけらしい。


 いいのかそれで?

 じろっと見つめてみた来世は、全く気にした様子もない。

 他の面子は?

 一緒にやって来たのは亜梨亜と秋香、来世に葛之葉、根唯の五人である。

 全員これが当然と思ってるようだ。都会だったらまず今の問答だけだと疑われるぞ?


 他の面子は用事があるとか、面倒臭いとか、勉強したいとのことで付いてくる気配すらなかった。

 まぁ、こんだけ人数が入れば充分ではあるから良いんだけど。

 昨日クラスメイトとしていつでも頼ってくれって言ってた奴らは何処行ったんだ全く。


 病室へと向かうと四人部屋のようだ。

 ただし、ベッドがあり余っており、使用中なのは模白さんだけだった。

 カーテンすらしていなかった病室では、椅子に腰かけた模白弘樹がやってきた私達を見て驚いていた。


「なになに、わざわざここまで来たの梨高さんたち」


 昨日参加した妖使いたちは私の名前が高梨有伽だと知ってしまっているが、一般人として参加しなかった模白たちは未だ私の名前を有高梨伽だと思っているようだ。

 まぁどっちでもいいんだけどね。もうラボの第二部隊にバレてるから偽名名乗る意味無くなってしまってるんだ。


「ちょっと待って。母さん、ちょっと話して来るよ」


 呼吸器付けて意識の無い母親に一度断って、模白が病室から出てくる。

 ドアを閉めて話が聞こえないようにして、廊下にて私達の話を聞くことにしたらしい。


「で、何か聞きたいことあるんだよね」


「ええ。昨日の八時頃って何してました?」


「病院に居たよ。丁度館内放送があって病院から出る所、だったかな? その後は家に帰ったよ」


「ふむふむ。つまり、アリバイは無い、という訳ですわね?」


「アリバイが無いって……そう言えば常思慧さんだっけ? 君の家の近くで屋根の上這ってる何かが居たよ。その時は誰か妖使いだろうなぁって思ってスルーしたんだけど」


「それ重要証言ではありませんの!?」


「そう言われても暗かったから影が動いてるの見掛けたってだけなんだけど……」


 確かに見掛けたってだけだと誰が犯人かは分かりそうにないな。


「あ、でも、俺のこと見て模白? って言ってたからもしかしたら知り合いかも?」


「だからそれ、重要証言ではありませんのっ!?」


「え? そうか?」


 うん、こいつもいろんな意味で鈍いってことは分かった。こいつと雄也がよく話しているの分かった気がするわ。

 鈍い人仲間ってことなんだな。

 しかし、彼の知り合いってことはやっぱりクラスメイトになるのか?


「あんたの知り合いであんたのこと模白って言いそうなのってクラスメイト以外誰かいる?」


「んー? いや、学校以外じゃ知り合い居ないしなぁ。親戚だと弘樹の方で言って来るだろうし。同級生か何かかな? もしかしたら卒業生かもだけど」


「卒業生?」


「ああ、ウチの学校ってほら、小学校から中学三年まであるだろ。だから俺が小学校だった時とかに中学生だった人とかが……でも俺のこと個人的に模白だって分かるかな?」


 小首を傾げる模白。うん、多分だけど近くの年代と見た方が良さそうだ。

 模白を知ってる面子で可能性があるとすれば今の中学三年から小学校高学年組。が同じクラスになってた可能性があるからその辺りが濃厚。

 やっぱり学校関係者が……そう言えば先生には聞いてなかったな。

 そちらも視野に入れた方が良いか。

 怪しい存在いなければそっちにシフトしてみよう。


「うむ、では次の面子に会いに行こうかの?」


「それがよさそうですね」


「んだば次は篠原だべな。えっとどこおるんかな?」


「誰か分かる人いる?」


 しかし、誰も首を左右に振る。

 とりあえず家を尋ねてみるのがいいか。


「じゃあ篠原の家知ってる人」


 ダメだ皆知らないらしい。


「近藤の家なら知ってるぞ」


「ほんとですか、模白先輩」


「ああ。常思慧さんの近くだったはずだぜ」


 折角なので地図を書いて貰うことにした。

 本当であれば案内してもらえればそれに越したことは無いんだけど、彼は母親の看病があるから頼むのもちょっと、ね。お母さんもお父さんも看病できるのも会えるのもこの世界に存在してる間なんだから。

 そんな逢瀬を引き離すなんて、私には到底出来そうになかったのだ。

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