状況整理
正直な話、目撃証言だけで捕まえられるとは思えない。
そもそも駐在さんは一人だけ、滅多に事件が起こらないこの島で犯罪者が出たとなれば大量の警官が来るのではなかろうか?
そうなると当然妖能力者関与の可能性も考えグレネーダーが来る可能性が高い。
面倒だな。ツイてないとも言える。
いや、今のうちに私達でこれを解ければ犯人を捕まえ駐在さんに差し出すことで問題無くなる気がする。
つまり、警察に言うのは最終手段。私達で捕まえるのが賢いパターンだ。
面倒ではあるが後々を考えればさっさと動いた方が良いだろう。
問題は私達が見付けられるかどうかといったところだが。
まずは妖能力者を当たってみるか。垢嘗に似た能力使える奴がいればそいつが犯人だ。
それから、亜梨亜に聞いた容姿からいって年恰好が小学生ではなく中高生くらいの大きさだったらしい。
ここの小学校低学年組は背丈の高いのは居ない。皆私の胸位まであるかないかくらいだ。つまり小柄な彼らが犯罪を行っている可能性はまずない。
「やっぱり、警察に告げた方がいいですよね?」
「……いや、私達でまずは捕まえよう」
「おお、有伽さんがやる気だべ!?」
当然だ。垢嘗の妖使いモドキとしてもイラッと来るのにさらに私の邪魔になるとか、そんな奴はさっさと捕まえてぶっ倒すに限る。
まずは学校の全員を調べよう。それでダメなら亜梨亜の家周辺の人物。
そうだな。根唯を連れて行こう。あいつ幸運らしいし、すぐ見つかるかもしれん。
後は……さすがにこの程度に土筆を使う必要は無いか。ああ、追跡班なら追跡班らしく役に立って貰おう。
あいつらに探させるか。
私は普通にクラスメイトに混じって食事している来世に振り向く。
「来世」
「ん? なんだい? 告白?」
「あんたんとこの監視者二人にさ、亜梨亜の風呂に入った垢嘗めもどきの学生服の男、探すように伝えて」
「いやいや、流石にそれは……というか、強制?」
「強制」
「はぁ……仕方ないなぁ」
溜息吐いて食事を再開する来世。とりあえず食べてからの行動らしい。
どうでもいいけどこいつ敵だから、葛之葉、普通に隣で食べてるんじゃないよ!?
ほんとこいつ警戒感皆無だな。
「あの、いいんですか? 犯人扱いされたのに?」
「別に、私としても同じ妖使いかもしれない奴がそんな事をしてるとなれば黙ってられないだけよ。とりあえず、学校の在校生から調べましょうか」
「は、はいっ」
確か小学校低学年が15人。高学年が8人。私達中学一年が25人、二年が10人。三年が3人だった筈だ。
低学年は放置で良いから、高学年から中学三年までの面子を調べよう。
それで見付かればよし。ダメなら近所から捜索すべきだろう。
多分、警察が現場検証すれば嘗めた天井からDNA採取ですぐわかりそうだけどね。
だから現場はそのままにした方が……え? 汚いと思ってシャワーで洗浄しちゃった!?
ダメじゃん!?
もはや警察連れて来てもお手上げ状態。
下手したら現場かく乱でなんか変な罪状付けられて逮捕されかねないぞ。
とくに妖使いだったらそのままラボ行きの自滅だぞ?
とりあえずこのクラスの妖使いたちには無理だろう。
私と一緒に居たっていうアリバイがあるからだ。
まずは人数が少ない方から調べてみようか。
三年、小学校高学年組、二年の順で良いかな?
似たような妖使いがいればすぐ解決だけど、さて、どうなることやら。
土筆には今まで通りの索敵を頼み、葛之葉は勝手に付いてくるだろうから放置。
来世は一度ノウマと裸螺に伝えること伝えに向かい、その後は私に合流するんだと。
合流しなくてもいいんだけどね。
食事を終えた私達は教室へと戻る。
とりあえず今日調査のために聞きに行くってことを各教室に伝えておくことにした。
皆が揃ってないだろうから先ぶれ出しとけばみんな帰らず待っててくれるだろう。時間は取らないし。
亜梨亜たちを一度返して時間の少ない昼休みをゆったりと過ごす。さすがにこの時間で聞き回るのは面倒だし遊びに行ってる奴を聞き逃す可能性がある以上は今回は事前に尋ねに向かうよ、と伝えるだけだ。
とりあえず必要になりそうなのは根唯と亜梨亜。それ以外は……まぁ勝手に集まって来るだろう。
放課後に亜梨亜は私達の教室に来るように、と伝えて別れる。
ついでに根唯に放課後根唯も手伝って貰うと告げておく。
さぁて私の能力をパクるようにして私に罪を着せようとした野郎に、地獄を見せてやるとするか。
でも変だな。前に土筆に聞いた話によれば妖使いは結構居るけど垢嘗の妖使いは居なかった筈なんだけど……
やっぱり似た能力者だろうか? それとも外部犯行? でも学生服だったなら……
いや、まだ何もしてない状態で考えたって仕方がないか。放課後まで我慢だ。
推理など興味深いことに首突っ込むのは私の悪い癖かもしれない。好奇心猫を殺すというし気を付けよう。




