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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一節 鉦五郎
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歓迎会

 体育館にはクラスメイト達が勢ぞろいしていた。

 いや、勢ぞろいじゃないな。25人じゃない。

 何人か来ていないな。


 芦田に促されるまま体育館に入る。

 根唯がこっちだ。と私を連れて来たのは右に根唯、左に土筆の居る場所だった。

 とりあえず今来ているのは……


【座敷童子】の赤峰根唯。【迷い家】の近衛雄也、【狐狗狸さん】の相生美園、【琴古主】の為替梃、【アンサー君】の大河和馬、【闇子さん】の小峠紫乃、【不落不落】の芦田興輝、【面霊気】の高足柚葉、【花子さん】の渡嘉敷縷々乃、周茂美三留、飯草正樹、財前博次、安心院巡、高麗誠二、桃田太郎、江西総一郎、川北奉英、觀月空枝、といったメンバー。

 これに葛之葉と土筆と来世が参加している。


「ちなみに今回は妖能力持ってない人は不参加だべあ」


 だべあってなんだ。だべあって?


「と言っても自己申告だからホントに一般人かどうかはわからないけどねー」


 梃の言葉に成る程、と頷く。妖能力がないらしい、模白弘樹、篠原哲司、穂高弘輝、近藤礼治、堂本小夜音の五人は今日は自宅にいるらしい。

 ということは、ここにいるメンバーは全員妖使いってことか。


「まぁ、とりあえず食べろ食べろ」


 雄也に促されて持ち寄ったお菓子やら何やらが食べられ始める。

 皆でワイワイ言いながらペットボトルのジュースを飲んでお菓子を食べる。

 学生版の集会らしい。

 ビールやツマミがでないだけマシか。


「とりあえず有高梨伽さん改め高梨有伽さんの正式加入、おめでとー、そしてこれからよろしくーっ」


「どゆこと?」


「ああ、せっかくなら有伽さんのこと皆に話しとこうと思って、仲間だし」


「あ、あたしは最後までやめとけって言うたべや!」


 つまり、雄也が全部喋った……と。

 私は笑顔を振りまきながらピキリと怒りを滲ませる。


「皆も協力してくれるって! やったな有伽さん」


「ってことは、皆知ってる?」


「ああ、高梨さんが梨高さんじゃなくて逃亡者で、指名手配になってるんだろ」


 何話しちゃってんだ雄也、テメェどこまで頭お花畑なんだよっ!?


「大丈夫だって、皆根唯のこと知っても友達でいてくれてんだしさ、気のいい奴らだよ皆」


 殺人者に気のいい奴らって時点でおかしいだろ。

 なんかこいつ等ヤバい奴らの集まりじゃないかと思えて来たぞ?


「まぁ、なんだ。俺ら島育ちだからさ、同期ってだけでなんか親近感湧いちまってよぉ。天原さんからあんたの現状聞かされたらもう、匿うっきゃねぇだろ。畜生、絶対に守ってやっからなぁ!」


 なんか涙を流して熱く語りだした桃田。

 俺もだ! と川北が告げる。


「俺、桃田太郎は【桃太郎】の妖使いだ。実戦が必要になったら声を掛けてくれ、鬼だろうがなんだろうが成敗してやる!」


「俺は川北奉英、【浦島太郎】の妖使いだ! 魚釣りだろうが海戦だろうが俺に任せろ!」


 ええぇ、ただのクラスメイトなのになんだこの好戦的な二人は?

 おぼっちゃんにしか見えない桃田。頭がなんともザッ、桃太郎。といった髪型で、額には日の丸の鉢巻きをしている男だ。細マッチョなので確かに肉体労働は出来るかもしれない。


 薄いイケメンと言えばいいのだろうか? 折角イケメン顔なのに影が薄い川北は浦島太郎の妖使いらしい。

 あれって童話であって妖怪とかじゃないよな? なんで覚醒してんの?

 まぁ、覚醒してるってことは妖能力なんだろう。私がここでとやかくいうとこではない、か。


「改めて、私は安心院です、安心院巡。妖能力は【獏】今回は裏方回ってました」


「俺は【衝立狸】の江西総一郎だ、よろしく」


 鬼○郎みたいに片目隠したアホ毛少女が巡。おちゃらけ糸目の男が江西らしい。


「觀月空枝だよ、私は【ぴしゃがつく】改めてよろしく」


「周茂美三留、【影女】……だよ」


 ゆるふわウェーブのお姉さんタイプが觀月、控えめな太眉ポニーテール少女が周茂だ。


「こうして再度自己紹介というのもおかしな気はするが、飯草正樹【鉦五郎】だ。直接的には役に立たないかもだけどさ、なんか手伝えるようなら手伝うぜ」


「財前博次【金魂】だ。金に関することで困り事があるなら僕に聞きたまえ。幾らでも金を作りだそう」


 熱血主人公タイプのモブ顔が飯草正樹。さすがにモブ顔は酷いか。

 ぴっちり委員長というか、どこかの病院で院長診察とか無数の医者侍らせながら歩く優等生タイプのメガネ君だ。それが財前博次。服が貴族服っぽいのは気のせいだよね? 私服がなんというか他の人と一回り違う気がする。


 これらが今回判明した妖使いのクラスメイトたちである。

 皆が私が逃亡者だと理解しながら一緒のクラスメイトで構わないと言ってくれている。

 なんだろう、この、居場所を無理矢理に作られた感。

 お前はここに居ていいんだと告げる仲間たち……


「有伽様、なんで泣いてるんですか?」


「……え?」


 土筆に言われて気付く。

 私は……多分、嬉しさで涙が自然と零れていた。

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