表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一節 鉦五郎
49/182

仮初の日常

 七人同行撃破から数日。

 本日も私は学校に来ていた。

 未だにラボからの新たに送られてきた刺客は居ない。


 尾取枝もノウマもそこいらをうろついては居るけど実質私の監視以外することが無い様子である。

 怪しいと言えばもう一人。小出葛之葉は結局学校と迷い家に居ついてしまった。

 駄狐さまは本日も、空いた屋良美織の座席に座って両足ぶらぶらふって授業を聞いている。

 否、多分聞いていない。暇そうに欠伸してるし。あんた何しに学校来てんだ?


 ここ数日、葛之葉は何かを言いたそうに私を見ることが数回あった。

 何か言いたいけど、言えない理由があるのか、私と二人きりになるのを待ってる感じだ。

 残念ながら二人きりになるには邪魔者が多過ぎるのだけど。

 授業中は移動できないし、休憩時間は梃と縷々乃、新たに美園が寄ってくるようになった。


 そう相生美薗、こっくりさんの妖使いである。

 たしか葛之葉と知り合ったのは彼女の紹介だったはずだ。

 この美園と葛之葉は偶然知り合ったそうだけど、本当に偶然なのだろうか?


 昼休憩は根唯と雄也が自宅に誘ってきて皆で食事。

 放課後も誰かしらが一緒にいるので葛之葉と二人きりになる時間は無い。

 唯一あるとすれば就寝時に私の部屋を尋ねるくらいだが、それをする程の用事ではないらしい。

 でもそろそろ口を開きそうではあるんだよね。


「最近残暑厳しいよねー」


 棒読みで本日も近づいて来たのは美園。

 授業終わった直後にやって来てそんな言葉を告げて来た。

 意味は分からないけど何か話があるらしい。


「ん、残暑きびしー」


 次にやって来たのは渡嘉敷縷々乃。

 おかっぱ頭の少女は眠たげな眼で両手を上にあげ万歳状態。

 やっぱり棒読みだった。


「と、言う訳で梨伽さん肝試し行こう」


 ついでにやって来たのは為替梃。

 どうやら皆でイベントを用意したらしい。

 私を誘う気満々だった。


「なんじゃなんじゃー、えーっと、た、楽しそうな話をしておるのー」


 そして噛み々み棒読みで参加して来る葛之葉。

 こいつも一緒に画策したのか。肝試し……ねぇ。


(有伽、どうしよう?)


「そうね、皆棒読み過ぎるけど参加してみる」


「おおっ、やったぞ見たかそなたら。妾のトークテクニックで見事了承を得たぞ!」


「いや、普通に大根役者だったからねくーちゃん」


「そういう美園もね」


「梃もだ。私MVP」


 だーっと両腕を再度天高く突き出す縷々乃。あんたもだよ。

 目くそ鼻くそを笑い続ける彼らと少し会話する。

 ちなみに返事こそ私がしたが、会話しているのはヒルコである。


 普通に知り合いと会話するだけでも彼女にとっては新鮮なことらしく、すごく楽しそうだった。

 彼女のことを思えば、居残って良かったと思う。

 でも、この先はさすがに保証できない。

 果たしてこの島に残って良かったのか……


「にょほほ、妖使い共が肝試しとはこれいかに、なんぞ愉快じゃの」


「妖使いだって怖いもんは怖いのだよくーちゃん。ほら、北側にある森の中にさぁ、朽ちた洋館あるでしょ。あそこも出るって噂だよ。骨と皮だけの老人の幽霊」


「あー、聞いたことある。あそこヤバいよね? なんか女性の声聞こえるとも聞くし」


「怖いよねーくーちゃん」


「え? あ、お、おぅ、うむ。そ、そうじゃな」


 若干葛之葉が焦ってる気がしなくもないが、なんだろうね?


「と、ところでじゃな、集合はどうするんじゃ?」


「そうねー。んじゃ夜8時頃に校舎前集合で」


「8時ね。了解」


 折角だしヒルコも私の身体から触手伸ばしてこいつら脅かしてやればいいんじゃね?


「んじゃー仕込みとかあるから梨伽さんはどっかで時間潰しておくこと」


「え?」


 おいおい、仕込みとか言っちまってるじゃん。なるほど、歓迎会か何かするつもりってことか。

 ヒルコにとってはいいことか。じゃあ私は何も言わないでおこう。楽しんで来なさいヒルコ。

 さぁて、どうやって時間を潰そうか。


「誰かと時間潰すって訳にはいかないの?」


「仕込みがあぷろ……」


 梃がぶっちゃけてしまったので慌てて口を塞ぐ美園。

 なんでもありませんわよおほほほほ。とか雑な言葉遣いを残して去っていった。

 つまり、ヒルコの知り合い全員でヒルコを罠に嵌めるから学校には近づくなってことらしい。


 思わぬ形で出来てしまった時間に、手持ちぶたさを覚える私。

 彼女達なりの歓迎でもしたいんだろうし、折角だ。

 この島の街を探索してみるか。それなりに時間潰せるところを確認するだけでも時間は潰せそうだ。いいところがあれば今後も利用しよう。


 あと根唯の話じゃ1km離れた場所にコンビニがあるとか言ってたな。あれ? 人が来なさ過ぎて潰れたんだっけ?

 まぁいいや、探索がてら探してみるか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ