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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四節 小豆婆
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七人の妖使い

「にょほぅっ!? 何するんじゃ汝はーっ」


「緊急措置よ許せ!」


 直ぐにもふもふ尻尾から飛び降りる。

 死者の妖能力が使えるせいで七人同行は七人分の妖能力使いを使える状態になってる筈だ。

 当然暗殺対象として殺した奴らの能力を使ってるんだろう。

 私も殺されれば死者として好きなだけ操られるんだろう。絶対に嫌だ。


「小豆おあんなすって」


「にょほー!?」


 あ、葛之葉が空飛んだ。

 小豆おあんなすっては小豆を食べろと告げるだけの筈だ。そこで怯えると笊に掬いあげられる。というのが本来の小豆婆の特性だ。

 小豆砥ぐ音も聞こえないし、どうなってるんだか。


「ええい、浮遊尻尾。妾は怒ったのじゃ」


 空中に留まる葛之葉。ようやく本気になったか?


「チィッ、もう温存してる場合じゃないわね。行けッ!」


 踏歌の言葉でサラリーマンから出現する霊体。何をするかと思えば適当な死体の頭に齧り付き始める。


「馬鹿か!? そっちじゃないわよ! 高梨有伽だって言ってんでしょ!?」


 制御不能の霊体か。アレは多分【首齧り】だな。


「魚頂戴?」


 うわ、びっくりした。真後ろに見知らぬ女。これは……なんだ?

 さらに出現するのは霊体。

 霊体が多い……あ、ちょっと待て。なんで今……首が、括りたいなんて思った?

 唐突に首を括りたくなってきた。

 あの霊体が原因だろう。


「葛之葉、アイツ優先で倒して! 【縊鬼】だ!」


「なんと面倒な!? ええい覚悟―――――にょほぉぉぉぉ!?」


 あの馬鹿【磯撫で】の釣り針に襟首引っ掴まれて地面に引き倒されやがった。

 その後小豆婆の一撃で大空に再び投げ上げられている。


「魚くれ」


 だから、なんだよこの女は?

 妖能力だろうと思うし、多分霊体系だと思うけどなんの妖なのか分からないから下手に反応出来ない。

 魚とかこの近辺にはないからっ。ってあーあ。狙撃されて吹っ飛びやがった。


 さらに出現する霊体。なぜか直訴状を持ち涙を流しながら近づいてくる男の霊。

 農民は苦しんでおられると叫びながら来られても困る。

 当然土筆の狙撃により撃破された。

 が、しつこい。どんなに撃たれようとも気にせず前進して来る。

 しかも油断すると小豆婆の一撃が真下から襲ってくるのだ。


「にょほー。七人の妖使いか。磯撫で、樹木子、小豆婆、首齧り、縊鬼、佐倉惣五郎の霊、ダキ。なかなか面倒じゃの」


 佐倉惣五郎の霊にダキ? その辺りは知らない妖だな。

 とりあえずこれで全員分の能力は出て来た。

 味方が来るのを待ってたって言ってたが、全員自分の操る死人の能力ばっかりじゃないか。どうなってる?


 もしかしてこいつ、功を焦る余りにパートナーと二人きりで私を殺しに来たんじゃ……

 だとしたらチャンスだな。

 周囲に敵と思える存在も居ないし。

 こいつ等を殺してしまえばしばらく追われることは無いってことだ。

 ついでに言えば裸螺が邪魔な気もしなくもないけど、あいつは放っといてもいいらしいし、ここで巻き込んでしまえば……そういえばあいつどこいった?


 あ。あの離れた木の所に……


「樹木子!」


 樹木子により操られたのは、尾取枝が擬態している枝が付いた樹木だった。

 根っこをうねらせ移動を始める木が踏歌の隣までやってくる。

 木に擬態させたら確かに分かりにくいな。不自然な場所に太い枝付いてるけどな。

 なんで先細った枝の細い部分に太い枝が生えてんのよ。あいつ馬鹿か?


 首齧り、ダキ、佐倉惣五郎は土筆が銃撃で何とかしてくれてる。

 佐倉惣五郎はそれでもこっちに迫ってくるから危険ではあるけど、まだ距離はあるし銃弾の当り方によって一気に仰け反るので距離が空くこともある。

 とりあえずこの三体はアイツに任せよう。


 磯撫で、小豆婆は葛之葉をターゲットにしているようだ。

 問題は縊鬼だろう。

 アレを何とかしないと。気を抜いた瞬間首を括りたくて仕方なくなってくる。

 アイツがいるだけで私がピンチだ。


 なんとかしたいがどれだけ倒しても死人である以上殺せない。

 倒す方法は唯一つ。東華踏歌を殺すこと、それだけだ。

 つまり、踏歌は絶対に殺さないといけない。

 覚悟を決めて貰わないと。本当に、アイツにできるのか? 今も近場に居るのに倒せていないのに。


 私が身動き取れなくなってる以上、アイツが頼りなんだけど……

 いや、なんとか樹木子と縊鬼を突破しなければ。

 信じられるのは最後は必ず自分だけ。

 他人を信じ過ぎて馬鹿を見るくらいなら、初めから私だけでやり切るつもりでやらないと。


 覚悟しなさい踏歌。私達と敵対したことがどういうことになるか、その身でしっかりと体験させてやる。

 ニヤつく笑みを浮かべ絶対的優位を確信する踏歌に向けて、私は静かに闘志を燃やすのだった。

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