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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四節 小豆婆
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増援

「にょほほほほ、燃えろーっ」


 ようやく動かなくなった樹木子に両手を突き上げ高笑いの女狐。

 散々逃げ回ったあげく相手が力尽きるまで助けてたもれっとかもうヤじゃーとか泣き事連発してたんだけど奴と同一人物とかえらい違いである。


 樹木子は葛之葉の御蔭でなんとかなりそうだ。

 しかし、踏歌の顔はそこまで絶望的じゃない。

 何しろ樹木子の材料となる木はそこいらに生えている。

 次の樹木子が来る前に何とかしたいところだけど……


「残念。樹木子は一つじゃないんだな」


 既に準備を終えていたらしい新たな樹木子が現れる。

 どうやら樹木子は葛之葉を相手にするようだ。

 私には八人で一斉に襲いかかるらしい。


 草薙を舌に巻き付け応戦。

 基本近寄らせないを戦術に、近づいて来た奴は紫鏡のナイフで迎撃。

 これは斬った物体を鏡の中に入れることが出来るため、敵を切れば切っただけ相手の姿が壊れて行く。


 これなら八人相手でも直ぐに相手の数を減らせるので重宝しているナイフだ。

 相手の武器も消失させられるし肉体も消失させられるので戦力を減らすには丁度良い。

 問題は、向こうもそれが分かっているのでこのナイフが届かない場所からの遠距離攻撃に切り替え始めたって所か。


 まぁいい、それなら入れ替えればいいだけだ。

 相手に隙が出来た瞬間を見計らい舌を引っ込める。

 草薙の代わりに紫鏡のナイフを握らせ、私自身は草薙を手にする。

 本来はこの形態がベストなのだ。

 さっきは紫鏡のナイフを用意する前に敵が突撃して来たので迎撃を優先させていたにすぎない。


 これで遠距離相手を消し斬るナイフ攻撃と、近距離自動迎撃システムを兼ねた草薙の剣を装備したことになった。

 OLの足を切り裂き子供の腕を薙散らす。

 少しずつ、でも確実に相手の戦力を削っていく。

 おばさんの肉が無駄に厚い。

 ネクラ男の動きが結構いい、今の所アイツだけ一撃も喰らってない。


 サラリーマンの首を撥ねる。

 首だけが飛んで来た。

 さすがに焦ったがこれは草薙を使ってバットよろしく打ち返す。

 踏歌に向かって打ったら「ひぃっ」と声を上げて避けていた。

 さすがにアレは怖いよね?


 首の無い遺体も私に襲ってくる。

 もはや素手なのだけど私を捕まえようと迫ってくるので攻撃しないわけにはいかない。

 八人相手だ。そろそろきつくなってきたかな?

 這いずりながら迫る奴らが多くなって来たモノの、それらへ対応出来ない。

 とくにネクラ男と屋良美織が面倒だ。


 ネクラ男は磯撫でらしく自身の身体から釣り針のようなモノを射出してくる。

 これが意外と厄介で、下手に剣を振ると絡まって奪い取られてしまうのだ。

 御蔭で遠距離まで舌を伸ばすことも出来なくなりつつある。

 お互いに攻め手を封じ始めたせいで手詰まり感が出て来てしまっているのだ。


 へこへことしゃくとり虫のように移動してくるおばさん。

 両腕を落とされながらもふらふらやってくる子供。

 頭の無い胴体だけが両手を動かし迫るサラリーマン。さすがに下半身だけだと立ち上がれないらしい。


 なんとかあの三人はほぼ無力化出来たが、他はまだ時間がかかりそう。

 いや、そうでもないか?

 唐突に屋敷の二階に生まれた殺気。

 私ではなく敵に向かう殺気なのでどうやら向こうは土筆が勝利したようだ。


 案の定、パス、パスっとサイレンサー付きの狙撃がネクラ男と美織の即頭部を穿つ。

 御蔭で磯撫での動きが鈍った。

 チャンスとばかりにネクラ男の両腕を斬り落とす。

 さすがに美織までは行かなかったか。


 釣り針を避けながら迫り来ていたOLの腕を紫鏡のナイフで鏡の中へと消し飛ばす。

 剣の腹に当てて掬うようにしないと消えないのが面倒だが、これで少しずつ迫る物体を消せるので脅威が消せるのは嬉しい。

 次は……っ!?


「小豆おあんなすって」


 突如、自分の身体が制御不能になった。

 気付いた時には空に投げ上げられ、身動き取れない状態になっていた。

 今のは!?


 地上に視線を向ければ、真下に出現し、私を跳ね上げた巨大なざる

 笊!? なんで? 小豆……小豆そぎ婆、いや、小豆婆か!?

 受け身は? 舌で何かに掴まれるか?

 いや、無理。ここには掴まれるものが何も無い。


 何かないか? せめて落下の衝撃を吸収できそうな……仕方ない。

 舌に持っていたナイフを手に持ち身体を入れ替える。

 空中だからかなり面倒だけど、ソレを見るためには真下が見える位置に顔を持って来なきゃいけない。

 あとは……舌を伸ばすだけッ。


 ぐんっとひっぱり自身の真下へ。

 遠慮なくそのふさふさ尻尾の上に落下してやった。


「にょほぉぉぉぉ―――――っ!?」


 葛之葉の尻尾をクッションにして私がなんとか生還する。

 奥の手は小豆婆か。

 これで足元もヤバくなってしまった。

 八対一に飛び交う釣り針、動く樹木子、足元から小豆婆の笊。手早く踏歌を倒さないとこれは少々ヤバそうだ。 

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