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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三節 磯撫で
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作戦会議1

 雄也が起きたのだが、結局時間的に夜だったので夕食を食べてまた寝る雄也。

 結局その間外に出られなかったのでその日は皆で寝ることになった。

 正直気持ちが焦る。

 時間が立つほど包囲が完成するんじゃないか? と思ってしまうのだが、それだったら既に包囲は完成していると見ていいだろう。


 フェリーで逃げるのは良いが普通に逃げれば撃墜されるだろうし、逃げるなら土筆の天井に潜む能力で移動するしかないだろう。

 彼女の能力だと本土まで一気に行くことが出来ないのが悔やまれるし、道半ばで撃墜されると手も足もでなくなるんだけど。


 いや、でもその場合は一番近い天井に出ることはできるから本土の方に逃げ切れるかもしれない。

 けれど、その先をどうするか。

 外国に逃げるにしても飛行機に乗るのはまた面倒だ。

 密航するしかないだろけどそれはそれで網を張られていそうな気がする。


 そもそも私を殺しに来てるのに七人同行と他二人だけというのが変なのだ。

 本気で私を殺すつもりがあるのか?

 それとも余程舐めてくれているのか?

 あるいは何か理由があるのか?


 まるで自分が幸運にも見逃されているようで……

 幸運?

 思わず眠っている根唯を見る。

 布団を居間に敷き詰めて雄也以外雑魚寝状態の今、葛之葉が布団引っぺがして足を隣の土筆に乗せて左手で彼女の頬を押さえている。凄く寝苦しそうだ。

 根唯はそんな葛之葉の尻尾を頭に乗せている。彼女も寝相は悪いらしい。どうやったら上下逆になるのだろうか? 実際になってる根唯は葛之葉のお尻に顔を埋めようとして尻尾に阻まれていた。


 葛之葉以外凄く寝苦しそうだな。

 まぁ、それはどうでもいい。

 根唯は確か座敷童子。禍福を司るとか?

 いや、まさか……ね。


 その日だけはゆっくりと眠ることが出来た。

 まぁ、私が眠ると大抵悪夢にうなされるんだけども。

 翌日になるまで浅い眠りを繰り返し、どうしようもない現実へと覚醒する。


 起き上がれば、何をどうしたらそうなるのか、土筆の口に葛之葉の足が入っている。

 根唯は窒息してないだろうか? 葛之葉の尻尾に完全に顔が隠れているのだけれど。

 まぁ、私には関係ないのでさっさと顔でも洗って来よう。


「うぶぉえっ!? ちょっと葛之葉さんなんてもの食べさせますのっ!」


「んぁー?」


「ちょっと聞いて……根唯さんが死んでるーっ!?」


「おおぅ!? だ、大丈夫、生きとる、生きとるぞ!」


 本当に、トラブルメイカーとは葛之葉を差す言葉のようだ。


「有伽、顔は洗わなくてもそういうのワタシが纏めて捨ててるよ?」


「日々の習慣よ。人としての生活を忘れない為の行動」


「あっ、ごめん、そういうこと考えてなかった」


 別にやらなくてもいいんだろうけどね。何らかの理由でヒルコが居なくなったら顔の洗い方忘れてました。なんてことになったら女としては終わってるもの。

 せめて身だしなみを整えるくらいは許してほしいものだ。


 洗顔を終えて戻ってくると、既に居間には食卓が置かれており、朝食が用意されていた。

 雄也が食卓を前に既に食事を始めている。

 ほんと、こいつは毎日自由だな。


 根唯はなぜこんなのが好きなのか甚だ疑問である。

 能天気だからどんなところでも引っ張ってくれるってところか? 死出の旅路に行かないよう気を付けろよ?

 食事を終えると学校へ行く用意を整えさっさと行くぞーといつものように出て行こうとする。

 こいつ、私が追われてること普通に忘れてるだろ。


「ちょっと待って雄也。あ、ほら梨伽さんも早く学校の用意整えな」


「追われてるのに行けるわけないでしょ。殺して下さいって言っているようなモノよ。悪いけど二人で行ってきて」


「あ、そっか。でも、それだとどうすっべな」


「こっちはこっちでなんとでもなるわ。気にしなくていいわよ」


 ここで二人とはお別れだ。

 雄也が忘れてるなら都合が良い。このまま二人はぬるま湯の生活に戻って貰おう。

 私とは住む世界が違ってしまっているのだから、わざわざ二人をこちらに引きずり降ろす必要は無い。


 二人が学校に登校したので私達も外に出る。

 結局砂浜で顕現してやがる。

 こんなの待ち伏せされたら終わりだろうに。あいつ本当に間抜けね。


「正直これはないですわ。追われてるってこと完全に忘れてるか、気付いてないですねわねあの馬鹿」


「ワタシもさすがにフォロー出来ない、雄也ェ……」


「ほんにのぅ、あ奴に危機管理は任せてはいかんのじゃ」


 子狐。お前なんで残ってる?

 まぁいい。こいつも追われてるみたいだしせいぜい戦力として利用はしよう。信用はしないけど。


「それじゃ作戦会議を始めましょうか」


「にょほ? 昨日やったではないか?」


「何も決まってないのに会議もないでしょう。土筆、まずは索敵。敵の居場所を探して。暗殺対象は濡女、踏歌、それからまだ誰か分かっていない磯撫で。後一つ。磯撫では……の可能性もあるから、そのつもりで」


 最後に、一言可能性だけを耳打ちで伝えておく。

 あふぅんとかなまめかしい声出してたけどちゃんと聞いてたか?

 迷い家が消える前に土筆を送りだし、私は作戦会議を開くために情報収集に向かうのだった。

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