表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 濡女
24/182

海を切り裂くモノ

 紫鏡のナイフを持つのは良いよ有伽、でも、相手は波を操ってくると思しき女だよ。

 ナイフ一本でどうこうできる相手じゃないよ!?

 ほら、また波が襲って……えええ!?


 有伽の身体が自動で動いて波を切り裂く。

 真っ二つに裂かれた波は有伽の身体だけを避けて浜辺に落下。

 そのまま砂だけを奪い去っていく。


 突撃して来た女性は驚きながらもナイフを一閃。

 これを有伽はナイフで受ける。

 すると、女性のナイフがかち合った場所から一瞬で消え去る。


「っ!?」


 すかった一撃に慌てる女性に有伽の一閃。

 ぎりぎり避けるが逃げ遅れた髪が一束斬り落とされた。


「ド素人かと思ったけどやるじゃない。この【濡女】に一撃入れるなんて」


「貴女が何者か知らないけど、い、いきなりなんなの!?」


 驚く踏歌。しかし濡女は気にすることなくワタシの元へと突撃。

 有伽の身体が反応し、濡女が突き出した半分になってるナイフをさらに消し去る。


「何なのよそのナイフ!」


「というか、もう武器ないんだから諦めてよっ」


 ワタシが叫ぶが、それで止まってくれるような相手じゃない。

 さらに波が襲いかかり、足場を取られる。

 咄嗟にワタシが足の代わりに足となって踏ん張る。


「海辺はマズいんじゃ……」


「ええい、こっちよ」


 と、駆けだそうとしたワタシだったが、有伽の身体は逆方向に走りだす。

 ちょっと、海から逃げようとしたのになぜ海辺を逃げようとするの!?

 しかも踏歌と逸れちゃうよ!?


 ワタシが動かすよりも有伽自身が動く方の力が強いからワタシは邪魔するでなく有伽の本能に任せておく。

 ここで有伽の動きを邪魔しても濡女の好機にしかならないからだ。

 有伽、本当にそっち逃げて大丈夫なんだよね?


 海岸沿いを走る有伽。

 波が何度も襲いかかって来て海に引きずりこもうとするが、そのことごとくを避け。切り裂き駆け抜ける。


「逃すかっ」


 武器も無いのに追って来る濡女。

 踏歌は? 置いてかれて呆然としてる。

 追手があっちに行かないだけマシか。

 踏歌は関係ないんだから、これでいいんだ。


 ところで濡女ってどんな特性持ってるんだろ。

 水を操ってワタシたちを海に引き込もうとしてるってことは分かるんだけど。

 この程度なら……っ!?


 波の一撃が襲いかかる。

 有伽が華麗に避けたその刹那。

 波の中に紛れた縄のようなモノが襲いかかって来た。

 ぎりぎり対応した有伽のナイフが切り裂いてくれたけど、今のは?


「ちぃっ、感のいい。波だけに慣らして一撃を加えてやるつもりだったのにっ」


 そう告げたのは追い付いて来た濡女。そのお尻の方から、何か長いモノが伸びて海の中へと入り込んでいる。


「それ……は?」


「尻尾よ。あら、もしかして濡女を知らない? 三百メートル以上伸びる尻尾があるの」


 ワタシあんましそういうの知る機会なかったから。

 もしも機会があるならもっと勉強しないとだね、妖のこと。

 そうしたらこいつの能力とか対策も出来たりするんだろうか?


「まぁいいわ。追い付いたもの」


 さっきの波から出て来た尻尾攻撃のせいで確かに差は縮まった。

 当然尻尾の射程圏内。

 その尻尾は海の中を通ってワタシたちの遥か先まで伸びている。

 つまり、ワタシたちが逃げるより先にこいつに絡め取られる。


「後は、そのナイフさえ何とかすれば私の勝ち。海の藻屑に変えてあげるわ」


 ふふ、と笑みを浮かべ、濡女は不気味に笑う。


「大丈夫、しっかりと絡め取って海に沈めてあげるから。ちゃぁんと窒息するまで、溺死するまで海の中に漬けておいてあげるッ」


 言うが早いか尻尾の先がワタシの後頭部向けて襲いかかる。

 これに反応した有伽の身体が先端とナイフをかち合わせる瞬間、間横から尻尾が襲いかかった。

 ワタシが防御のために硬質化するが、かなり強い一撃に有伽の身体が持って行かれる。


 長い尻尾なので先端部をおとりに使って腹の部分をぶつけて来たのだ。

 筋肉の詰まった一撃をくらった有伽はナイフを吹き飛ばされて砂地に転がる。

 肉食獣が獲物を獲得したような顔で迫る濡女。


 ワタシが触手を伸ばせば届く位置にナイフが落下している。

 つまり、ワタシが有伽に寄生しているのがバレるということだ。

 でも、今は……


「追い付いたべや!」


 ワタシが動こうとしたその瞬間、ワタシの目の前に一軒の家が出現した。

 ワタシを拘束しようとした尻尾を、家から出て来た根唯が牽制。

 尻尾は根唯の右腕に絡みついて引っ張った。

 根唯の右腕がすぽんっと抜け、海の中へと引っ張られて行く。


「ああ、あたしの義手ッ! あれ高かったんだべよっ!!」


「言ってる場合じゃないだろ根唯。梨伽さん大丈夫? 立てる?」


 根唯に遅れて屋敷から姿を現したのは雄也。

 迷い家特有の何処にでも出現させられる特性で、ワタシの傍に一気に駆け付けたらしい。


「根唯、雄也……」


「梨伽さんは居候なんだから、守るって言ったろ」


「だべな。あたしだって役立つってところ見せたるでや」


 気合十分、頼もしい二人の同居人が助っ人に来てくれたのだった。

 頼もしい、よ? たぶん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ