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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 目競
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始まる殺し合い

 とある民家、私はヒルコと共に身を潜めていた。

 ここは誰もいないことは既に調べた後だ。

 古民家の一つでそれなりに広い庭のある民家だ。

 玄関ではなく縁側の廊下に座り土筆を待つ。


 しばし、ヒルコと歓談していると、にゅっと天井から土筆が現れた。

 どうやら向こうも無事撒けたようである。

 ただ、顔が悔しそうになっていることから、九尾を殺すまでには至らなかったようだ。


「残念ですわ。玉藻さん、どんだけ激昂しても隙を見せてくださいませんもの」


「まぁ、仮にも暗殺班一班の室長張り続けていた訳でしょ。それだけ油断しないのは当然でしょ」


「むしろそんな相手と闘えてることが凄いよ土筆」


 私とヒルコがそう言うが、本人は納得できてないらしい。


「ま、闘いは始まったばかりだし? 玉藻とはどうせ闘うんだから、次こそ眉間に撃ち込んでやりなさい」


「そう、ですね。有伽様、私、貴女のために玉藻を討ち取ってみせますからね! 楽しみにしてくださいまし。あ、もしも成功した暁には……」


「あー、はいはい。責任は取るよ、うん。私が扉開けたんだものね。はぁ……」


 顔を赤らめ意味ありげに流し目を送って来る土筆に、溜息吐いてそう返す。

 土筆が私を好きになったのは私がやらかしたせいだ。

 その責任くらいは取ってやらないと。アフターケアくらいはやるよ、うん。気が重いけど。


「では、行ってまいりますわ」


 つかの間の休息は終わりらしい。

 休息といっても大した休憩にはなってないけど。

 さて、私の方も向かうとするか。


「どこから手を付ける?」


「そうだなぁ……」


 ヒルコと二人、次のターゲットを考える。

 玉藻は無理。というか、最後にした方が良いだろう。

 アレは私達だけで倒せるような存在じゃない。土筆と共同で他者の介入がない場所で斃すべき相手だ。


 だから狙うは残りの三人。

 えーっと、ケンムンと目競だっけ? あと一人ってなんだっけ?

 とりあえず今狙い目は目競だ。

 ただケンムンと一緒に居るらしいので引き離す必要がある。


「ケンムンってなんだっけ?」


「えーっとね、類似の妖はキジムナー、イッシャ、河童とかかな。ケンモン、クンムン、クンム、ネブザワとか呼ばれる地域もあるらしいよ」


 ってことは相手は河童の特性持ってるってことか。

 となると弱点は頭の皿か?

 キュウリで釣れるだろうか?


「顔は犬、猫、猿とかに近いらしいの」


 もともと人間は猿から進化した訳だし猿に近くても不思議はないな。ただの人間と間違ったんじゃない?


「赤い髪の毛でオカッパ。頭に皿はあったりなかったりするんだって。肌も赤くて足が異常に長い。好物はキュウリじゃなくてナメクジとかカタツムリ」


 もう、河童とは似て非なる生物だね。


「指先に火を灯し、よだれが光る。片腕ひっぱると逆が引っ込んで伸びる。相撲も好き」


 たまに河童要素入って来るな。じゃあ、河童か?


「マッカーサーが奄美の森伐採した際一時期居なくなって、マッカーサーが老衰したあと再び出て来たからアメリカ渡って何か反撃してたんじゃないかっていう噂もあるよ」


 つまり執念深いってことか? でも老衰したなら放置されただけじゃないか。居なくなるまで奥地に逃げ込んでたとか?

 まぁ、噂でしかないらしいからそこまで考察する必要はないだろう。

 重要なのは河童要素と炎、あと光る涎? 涎はどうでもいいな。警戒対象は炎か。


「一つ、重要なことがあるわ」


「何、有伽?」


「ケンムンも、オナラで空、飛ぶのかな?」


「……それは知らない」


 ここ重要だから。

 追い詰めた瞬間やられたらこっちが不利になってしまう。

 臭い付きならさらに危険だ。

 これが出来るかどうかで取るべき戦法が一気に変化するのだ。

 ここは絶対に知っておかないといけない重要能力だ。


 呆れてる場合じゃないってば。マジに危険なんだってヒルコ。

 だから、ここで笑いは求めてないよ。面白くもない。なんて顔しないでよ。

 こっちだって出来ればこういうことは言いたくないんだよ。

 でも知らないといけない情報だし、無策で向かってオナラで空飛ばれました。

 空から一方的に攻撃されて臭いで悶え苦しみながら抹消されました、じゃあまりに報われないでしょう?


「馬鹿なこと言ってないで目競倒しに向かおうよ有伽」


「いや、でも……そう、ね。行きましょうか」


 生死を左右する重要な話なんだけどなぁ。

 まぁ、警戒しとくだけでもいいか。

 あの副室長さんだっけ、堅物っぽかったし、流石にオナラを人前でとかはしないだろう。

 追い詰められたらわからないけど。

 でも、最悪ヒルコに鼻栓して貰えばいいか。


 私達はケンムンと目競がいる場所へ向けて移動を開始する。

 土筆は引き続き九尾を皆から引き離す役目だ。

 つまり、ケンムンと目競は私が引き離して各個撃破しないといけない。

 少し不安はあるが、手持ちで出来ることはそれくらいしかないのだ。やるしかない。

 首を洗って待ってろラボの暗殺者共。全員地獄に突き落としてやるッ。

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