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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四節 燭陰
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エピローグ・悪夢の追跡者

「さぁて……そろそろ妾も動くかの」


 潰れた神社の屋根の上。

 月灯りに照らされて、狐の娘が伸びをする。

 怠惰な時間が終わりを告げた。


 電話を取り出し連絡を取る。

 奴はいつでも起きている。

 切羽詰まった状況でもない限り普通に出るだろう。


『来たか葛之葉』


「いやー、参った参った。今回は完全に後手周りじゃ。闇医者の元へ有伽を案内すら出来ておらんのに雲隠れじゃ」


『嬉しそうだな。何があった?』


「嬉しくは無いぞー、この島既に外堀埋められて脱出不可能。有伽も妾も追い詰められるネズミちゃんじゃ。いやー、流石にちょっとゆっくりし過ぎたかの」


『馬鹿を言うな。貴様なら普通に脱出できるだろう。で、何の用だ?』


「有譜亜が完成した。そろそろ高梨有伽が赤城と出会う」


『……そうか。こちらも報告がある』


 屋根の上から足をぶらぶら。遠目に見える街並みを見つめながら葛之葉はなんじゃ? と気楽に尋ねる。


『次の刺客、ラボの一班が動く』


「おっほーぅ、ついに来たか。いよいよよなー。妾こわーい」


『高梨有伽の母がいる』


「コーンッ!? なんでじゃ!?」


『私が知るか。奴は私が天津神祖と知っていたぞ?』


「おおぅ、そりゃ、なんとも」


『全く、あの時の失態がここまで世界に影響を与えるとは思わなかった。取り逃がしたのは大きかったらしいな』


「懐かしいのぅ、秘密結社ラナリア。そしてソレを乗っ取った妖研究所……まさか龍華の血をこんなことに使うとはのぅ」


『もう、その話はいい。高梨有伽に伝えてくれ。約束の大地で待つ、みごと生き足掻け、と』


「会えるかどうかは知らんぞ?」


『それでもいい。今はもう、お前しか頼れる者がいない』


「にょほほ、泥船に乗った気持ちでいるが良い。妾に全て任すのじゃ」


『不安しかないな……せめて奴の所在が分かれば手の打ちようもあるのだが……』


「敵は、首領か? 行方不明のままだったろう?」


『いや、ここまで巨大化してしまっては首魁を屠ったところで意味は無い。一つずつ、気付かれずに始末しなければ……』


 ぷつっと通話が切れる。

 どうやら最後は独り言だったようだ。

 無理じゃろ。とだけ言葉を返し、空を見る。

 雲一つない空に綺麗な月が一つ。優しげな光が降り注ぐ。


「高梨有伽……か。空の月か水鏡月か、そなたが手にするはどちらよな? 周囲の助け無くばこの地からすら出られんぞ? 折角知りおうたのじゃ、死んでくれるなえ?」


 月灯りに照らされて、葛之葉の影が伸びる。長く伸びた影の尾は、長く、九つにたゆたっていた……

新しい会社が残業続きなのと低体温症でダウン中のため、次話以降の更新は不定期になります。ウサギさんの方優先しますw

主な理由:ストックが済んだので _:(´ч`」 ∠): 3月過ぎまで忙しいから連日、とか聞いてないよぅ……

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