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妖少女Ⅱ  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四節 燭陰
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女と女、運命の出会い

「「うっげぇぇぇぇ」」


 私とソイツは思わず口元押さえて転がりまわる。

 ふざけんなっ。なんでまた女性とキスしてんだよっ!?

 空からネコミミ娘が落ちてきましたとか笑い話にもならないしっ。

 なんでわざわざ紐なしバンジーやってんのよっ!?


「何よコレェ!? 中国に弾丸ライブしに行くって言ったじゃん! なんで途中下車させられんの!? っつかあのマネージャー、パラシュート付けさせる時間も惜しいし猫なら落ちても平気だろっとか蹴りだしやがったんだけども!? うわんさんどういうことよ! 場合によっちゃそのグラサンで爪研ぐわよ!」


「むぅ、それは困る。見えづらくなる」


「「問題そこだけかっ!!」」


 思わず突っ込んだら声が被ってしまった。

 はっと気付いて同時に相手の顔を見る。

 この猫娘、なんだ? すっごく、イラつく。


 向こうも同じらしい、こちらを見てイラッとした顔をする。

 なんでこんなイラつくんだろうか? ただの女性だし、殆ど面識はない筈だ。

 なのに、こう、姿形があざとい。


「なんだお前ら、なんか似た者同士だな」


「「なんですって!?」川北!」


 つまり、なんだ、こんなネコミミ付けたあざとい女と私が似た者だってのか!?


「な、なぁ、おっさん、一緒だよな。性格的に」


「……ノーコメントだ」


 関わり合いになってはマズい、と思ったらしいうわんはぷいっとそっぽを向いた。

 川北の仲間は居なかった。

 遠慮なくボコる。なぜか猫娘も一緒にボコってきた。


「「で、こいつは?」」


「三班室長の【猫又】だ。こちらは今殺害対象に指定されている高梨有伽」


 二人に互いを紹介するうわん。

 こいつが、来世の後釜……妖能力名は猫又? ずいぶん弱そうだな。

 そう思ったら相手もそんな感想を抱いたらしい。


「え? 今こんなのが殺害対象なの? あんた良く今まで生き残ってるわね」


 バチっと何か私とこいつの間で火花が散った気がした。

 多分、真奈香とかが居ればなし崩し的に仲の良いツンデレ二人として友人関係が気付けただろう存在だったが、今の状態で出会えば一瞬即発の敵でしかない。


「待て、今は殺し合いをする時ではない。敵はあっちだ」


「確かに私にはまだお呼び掛かってないけども」


「弱いから呼ばれないだけじゃないの?」


 ギロリ、無言で見つめ合う。

 なんだろう、このイラつき。

 こいつを見ているだけでこう、イラッと来る。


「うわん、やっぱりこいつもこっち来るの? 私部下にするならこき使ってやるけど?」


「残念だが高梨有伽に救いはない。彼女は我々に殺される以外の選択肢がない。殺るか、殺られるか、だ」


「……そう。救いがないのか、残念ね」


「あんたに残念がられる意味が分かんないんだけど?」


「……うわん、あのデカイの倒せばいいのね? 仕方ないから私がやるわ」


 私の言葉を無視して歩きだす猫又。

 感じ悪いな。まぁ敵なのだから仕方ないだろうけど。


「彼女は……」


 不意に、私の隣に来たうわんが告げる。


「彼女は君と同じだったんだ、高梨有伽」


「……私と、同じ?」


「ラボの暗殺班に追われ、抹殺対象になっていた」


 はっとした。それはつまり、抹殺対象に指定されながら生き残ったと言うことだ。

 そして、ラボとして活動している。

 それはまるで……まるでグレネーダーに拾われた私のように。


「君がどんな状況になっているかは、おそらく彼女が一番分かっているだろう」


「……そう、それでさっき、哀しそうな顔を向けて来たのか」


「そして、彼女は君の敵だ。このまま生き残れば殺し合うことになるだろう」


 チッ。やってられない。私と同じように殺されかけて、仲間になることで生きながらえた。そんな相手を殺して先へ進めってか。


「見せてあげる高梨有伽」


「は?」


「私が生き残った理由。ラボにとって私を生かした方がいいと判断した理由。そして、あんたがこれから先、殺し合うかもしれない私の力っていうモノを」


 ぶわり、全身から鳥肌が立ち上がった。

 なんだ? 何か、ヤバい?


「猫又は招く妖よ。招いて招いて招いて招く。幸福を味方をあらゆるものを。千客万来、招いてこねて力に変える。私があんたの敵、八百万尾の猫又よっ」


 なんだ? なんだなんだなんだ、これは? こいつはっ!?

 猫又の尻上から生えた二対の尻尾、それが徐々に増えて行く。

 無数に飛び出す尻尾の群れが、寄り集まって一つの巨大な尻尾に見えてくる。


 一体どれほどの妖力を溜めこんでいた?

 これ、全部妖力って奴なのか?

 どうやったらこんな力を溜め込める?


「うにゃんっ」


 猫又が行うのは猫招き。

 招きを受けた燭陰が動きを止めて彼女を見る。

 招いてしまった。猫又は龍神を招き寄せたのだ。

 途端、雄叫び上げて迫る燭陰。猫又もまた、大きく息を吸い込む。

 あ、これ、もしかして……ヒルコ、私の耳塞いで、早く!

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