有志集合
学校内に出現した迷い家から出た私達は一度ソートフォンを使って妖使いグループメンバーに連絡を取る。
家に帰っている奴もいたが敵勢力はまだ森で態勢を整えているらしい。屋敷に出たりこっちに出たりして土筆が偵察を行ってくれている。
はじめこそ40人の増援だったが、時間が立つごとにその数を増やしつつあるそうだ。
なんだ、敵兵力は無限増殖中か?
これも神隠しとかいうのが関わってる?
校舎の教室に集合、ということで皆が揃うまでそこで待つ。
何か知らないけど続々やってくる。
私を助けるためってことなのに、学年が違う人までやって来たんだけど?
「まぁ、一応、私の元彼の仇は打ってくれたみたいだし? 仕方ないから手伝ってやるわ」
「すなおじゃないねー。暮阿さんは。とりあえず敵が銃持った兵士だっけ? 大坊主の俺ならそれなりに役立つだろ」
「俺も俺も、脛擦りだけどよ、相手転ばすくらいはできんだぜ?」
二年からは鋒鋩傑、皆木暮阿、桃井修一の三人。
三年からは小星唯。
小学校高学年からは舞之木刈華、樹翠小雪、常思慧亜梨亜。
射魏楠葉に三枝秋香ついでに福島賽音。賽音さんや、あんたたしか琵琶牧々じゃなかったか?
今回絶対役に立たないだろ。
クラスメイトからやって来たのは相生美薗、為替梃、大河和馬、模白弘樹、小峠紫乃、高足柚葉、穂高弘輝、近藤礼治、堂本小夜音、周茂美三留、飯草正樹、財前博次、安心院巡、高麗誠二、渡嘉敷縷々乃。桃田太郎、江西総一郎、川北奉英、觀月空枝……全員じゃん。
葛之葉、赤峰根唯、近衛雄也、天原土筆、そして私、高梨有伽とヒルコ。この面子が一つの教室に集ま……
「やぁ」
笑顔でちゃっかり参加していたのは葛城来世。
何だこいつ、敵なのにまたしれっと参加してやがる。
「来世、あんた呼んだつもりはないけど? 敵情視察?」
「まさかぁ。俺はあいつらとは別件だって。監視役監視役。連絡相手はうわんさんだって」
「うわんが向こうに情報流すんでしょ。分かってるわよスパイ野郎」
「ぐふっ!? ひ、酷い、でも否定できない」
スパイだからな、実際。
「実際問題どーすんだ?」
「現状説明よろしくー」
「俺ら一般人だけどさ、考えるだけならできるだろ?」
なるほど、一般人の模白とかがいるのは考えるだけでも来てくれたわけか。
ほんとこの学校の奴らは馬鹿ばっかだな。
でも、だからこそ……巻き込みたくは無い。
巻き込みたくはないんだ。でも、巻き込まなきゃ。闘うことすらできない。
「やるせないね……まったく」
「何が?」
「あんたにゃ聞いてない。それより、さっさと現状説明しようか」
私の言葉で土筆が説明を始める。
最初こそ、一緒に来ていた楠葉が説明しようとしたんだけど、残念ながら彼女の端折り過ぎた説明では埒があかなかったので土筆が代わりに説明を始めたのである。
元々暗殺班で報告なども行っていただけあって要点を纏めて話すのが上手い。さすがだな。
「なるほどー、んじゃ今探すべきは神隠しの妖使い。それと増え続ける兵士の撃破、もしくは足止めか」
「じゃあ班分けした方がいいね。高梨さんが襲われないよう妨害しないと」
「俺と桃井は妨害組だな」
大坊主と脛擦りは確かにそっち向きの妖使いだろう。
「衝立狸もお忘れなく」
「影女も役に立つんじゃないかな? こ、こわいけど」
班分けが始まる。
なんか相談しなくても自分が出来そうなのと無理そうなのに別れ始めた。
結果、足止め部隊は琴古主、アンサー君、闇子さん、花子さん、面霊気、影女、衝立狸、雪女、塵塚怪王、琵琶牧々、大坊主、脛擦り、呉葉の妨害メンバー。
歌とか電話で答える妖使い入ってんだけど大丈夫か?
まぁ、刈華が居るから陣頭指揮は大丈夫か?
神隠し捜索組は私こと垢嘗、迷い家、座敷童子、妖狐、桃太郎、浦島太郎、金太郎、氷柱女、泥田坊、水虎である。
他の面々はさすがに危険ってことで知恵を出し合うだけでこの教室を作戦本部にして二つの班を繋ぐ役目をすることになった。
連絡はソートフォンだ。
空間連絡が出来る携帯電話の進化系電話が現代武器として使われることになるとは、でも情報を制することは勝利に繋がる訳だし、私達の方が不利なんだから使えるモノは何でも使わないと。
しかし、秋香が作戦に参加するとは思わなかったな。
一応協力はするって言ってたけど戦闘にまで参加するとは思ってなかったし。
「そんじゃ、作戦司令部は私が受け持とう!」
美園はちょっとどうかと思うよ。誰かほかにいい人居ないの?
「安心しろって、相生だけじゃないからさ。俺らがフォローするから任せろって」
「あー、はいはい、期待はしないけど信頼はしとくよ」
正直こいつら任せで上手く行くかどうかが不安だ。
とりあえず上手くいってくれることを頼む。捕まんないでよ? 纏めて殺したくは無いからさ。