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8話




次の日、俺たちは王女に訓練場に来るようにと呼ばれたから皆集まっている。

少しばかり待つと王女と騎士達が入ってきた。


「皆様、おはようございます。

昨日説明した通り本日は神魔石を配ろうと思います。名前を呼ぶので一人ずつ取りに来て下さい。全員に配布されましたら団長の方から作成における説明がありますので少々お待ちください。

そして失敗されても変わりの物は渡すことは出来ませんのでくれぐれも先走る事のないようにお願い致します。」



名前を呼ばれた人から一人ずつ取りに行った。

少々誤差はあるが大体拳大の大きさで少し霞んだ透明色だ。俺が呼ばれた様なので取りに行くか。


「これが神魔石です。

強度はあまり高くないので作成するまでは落とさないようお気を付けてください。」



そう言われて渡された神魔石は皆のよりかなり小さく半分程の大きさだった。


「あの…すみません。これ他のと違ってかなり小さい様ですが。」


そう王女に問い掛けると王女は少し面倒そうに睨みながら答えた。


「神魔石に大きさはあまり関係ありません。石の中に宿っている魔力の質や密度で価値が決まります。確かに大きい方が宿る魔力は多いですが最高級品ともなればあまり変わりありません。」


「分かりました。ありがとうございます。」


どうやら王女には俺に対して皆と同じ扱いをするつもりがないらしい。向こうの世界で何処からか俺が宝くじを当てたという情報を仕入れてきて詐欺をしようとする人達が沢山いたので人の嘘を見抜くのは得意な方だ。まあ遊び人という不遇職業の奴に対して最高級品を与えるような慈善事業みたいなことはしてくれないようだな。

文句を言っても変わりそうにないし、王女の早く去れという目線が鬱陶しいから戻るか。貰えただけでも儲けものかな。


「紅葉の石なんか小さいな。」


「王女曰く大きさはあんまり関係ないんだとよ。

俺の目が確かなら嘘ついてるみたいだったがな。まあしっかり切れる刀が出来ればそれでいいさ。」


「ふーんなら嘘ね。紅葉の目は疑いようないじゃない。向こうでもしっかり詐欺師だけ撃退してたしね!」


そうこうしているうちに配り終わったようで団長の説明が始まった。


「まず武器を作る為には魔力が必要です。魔力の出し方についてはシャワーなどの魔石を使う時と同じ感覚でいいです。そして強い武器を作る為には明確なイメージが必要となります。その為構造を理解出来ない複雑な物は作れないと思ってください。しかし後衛職業なのに近接武器を作ろうとした場合、その逆も然りですが神魔石が勝手に職業に応じた武器になることが御座いますのでデザインを細部までこだわりたい人は出来るだけご自身の職業に合った武器をお作りください。ただし戦闘職業でない方は例外でどちらでも作ることが可能です。そして武器には所有者の魔力に応じてその者に合った能力を作り出します。これから相棒となる武器にどんな能力が付くか楽しみにしながら作成してください。では初めて下さい。」



銃とかは作れないみたいだな。ミリタリーオタクがいれば別だが小さい一つ一つの部品も完璧に覚えていなきゃいけないみたいだしこの世界にとってオーバーテクノロジーってことだな。

よしまあ作ってみるか。幸い俺は戦闘職業じゃないからどちらでもいいみたいだし親父の所為で使い慣れてる日本刀をモチーフにして作るか。



家に有った俺が幼い頃から使っていた日本刀をイメージしながら魔力を込めた。

その時辺り一面に目もあけていられないほどの眩い光が走った。他の人達は少しピカッと光った位なのに俺の光は桁違いだった。内心失敗したかなと焦ったが石がグニャグニャと形が変わっていく感触を手の平で感じられていたので少しは安心出来た。光が収まるとそこには紛れも無く俺が使っていた刀があった。鞘と柄は黒色で刀身は青みがかっている。重さや振った感触まで一緒なのは驚いたが下手に変わるよりは良いだろうと思い考えるのをやめた。



「皆様成功されたようで良かったです。

武器の能力を知る為には武器に名前を付けて頂いて武器を握りながら心の中で武器に問い掛ければ教えてくれますよ。名前は念じながら魔力を込めればつけれます。」



名前かまあ向こうの刀と同じでいいか。

武器に魔力を込めながらお前の名前は時雨だと念じる。そして能力は何だと問いかける。すると頭の中にステータスみたいなものが浮かんだ。



名前 時雨


所有者 波風紅葉


スキル

切れ味上昇 完全形状変化 重量変化 成長 破壊不可



騎士に聞いたところ完全形状変化は完璧に知らなくても大体こんなものでどう攻撃するかなどの仕組みがわかっていてイメージ出来るのならそれに変化することができるらしい。このスキルが出るのは滅多にないらしい。成長は持ち主と戦闘をこなせばこなすほどスキルを習得したりするらしい。てことはこの場に俺以外にこのスキル持ってる人が居なければこの世界で銃を支えるのは俺だけって事になるな。あまり人目につくところでは使用しないようにしようと心に決めた。

少し素振りをしていると優達が集まって来た。


「それ向こうで使ってた刀じゃない?」


「まあそれをイメージして作ったからな。名前も一緒にしたよ。」


そう答えながら皆が手に持ってる物を見た。

優は如何にも勇者見たいなゴテゴテした両手剣だ。一馬は身を隠せる様な盾と槍というよりは某狩ゲームのランスに近い。

夏美は少しアレンジされているが木製の杖だった。


「結奈…それはなんだ?」

そう問いかけると結奈は顔を真っ赤にしながら答えた。

「巫女服よ…

仕方ないじゃない!聖女って何が武器になるかわからなくて杖にしようと思ったけどちょっと違うなって、そして聖女って向こうでいう巫女さん位置なのかなぁって考えてたら急に凄い光が走ったからびっくりしてそのまま魔力込めちゃったのよ…」


ああ、結奈すまん。原因は俺に有ったみたいだ。

しかし此処で言うと更に拗ねられてしまうし幸いなことにその光の原因が俺だと誰も気づいていない様だったから黙っておこう。すまない、俺には正直に懺悔する勇気は無いみたいだ。


「皆ちゃんと出来たみたいだからこれから訓練に移ろうと思う。今日は昨日の四人には模擬戦を行うつもりでいるから覚悟しておいてください。」


団長はそう言って訓練を開始した。





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