5話
王女が出て行った後クラスメイト達は仲の良い同士集まり始めた。
おれの近くにも優、結奈、夏美がやってきた。
「紅葉一緒にパーティー組もうぜ。」
優はそう言ってきたが正直こいつらの足手まといにはなりたくない。他の奴らなら俺の所為で傷付いたとしても申し訳ない程度しか思わないがこいつらは別だ。自分が死んだとしても生き残って欲しい奴らだ。よし適当に理由付けて断ろうか。
「いつも同じ奴らでいてもつまらないだろ?違う世界に来たことだし他の奴と組んで見るさ。すまないな。」
なかなか強引な理由だがいけるか…?
「おい紅葉の頭おかしくなってるぞ…
異世界に来た時に頭でもぶつけたのか?
もしそうなら何ですぐに言わないんだよ!
水臭いだろ!」
その答えは予想外すぎる…
とりあえず喧嘩売られたようなので買ってやるか。
仕方ない本当に本当に不本意だが今までで一番の強さで殴るしかないか…
「あ、あの紅葉さん?その振り上げた拳は一体…?え?ああそうですかそれは私に向かってくるということですか…よっしゃ来い!覚悟は決めた!」
ドスッと鈍い音が鳴り優は地面に蹲った。
「優くん!大丈夫?」
夏美は優に近づいて膝枕をし始めた。
夏美は本当に優には甘いな。他の人なら冷たい目線向けるだけなんだがな。
「もう何やってんのよ。おふざけは終わりよ。夏美も優のこと甘やかし過ぎないの!どうせ紅葉のことだから騎士に悪いことを言われて遠慮してるんでしょ?遠慮なんて今更でしょ?」
うっ正論すぎて反論できん…
しかも結奈は中々の頑固だから決めたら言うこと聞かないからな。仕方ない正直に話すか。
「はぁ。そうだよ俺の職業レベル上がっても運以外のステータスが上がらないんだよ。だから足手まといになる前に違う奴と組もうとしただけだ。」
「やっぱりね。でも私達は駄目で他の人の足手まといならいいってどういう理屈よ…
はぁまあ紅葉の身内贔屓は今に始まったことじゃないからわかってたけど。」
全て見透かされていたようだ。
流石に10年以上の付き合いある幼馴染だ。
「それはそうとあと一人どうする?」
優は治ったようだが夏美の膝から起きる気がない。夏美も夏美で嬉しそうに頭を撫でている。
そのまま撫でられすぎて禿げてしまえ。
おっと危ない危ない本音が出るとこだった。
「結奈さん!僕と一緒にパーティー組みませんか!?」
そう言い近づいて来たのは中島晴人だ。
向こうの世界の時からよく結奈に絡んでは迷惑そうに断られている。中島晴人は典型的な鈍感系主人公でありイケメンだから女子の取り巻きが多い。だが本人は取り巻きには興味がないらしく結奈にご乱心のようだ。ほら取り巻きが此方を睨んでいるぞ帰れ。
「嫌」
結奈は簡潔にそう答えた。
あまり関わりたくないようでいつもこんな感じである。
「ほら見て僕のステータス!
種族人族
名前中島晴人
職業火の勇者
LV1
HP2000
MP1200
攻撃力800
防御力1000
素早さ300
運70
スキル
勇者LV1 鈍感LV10 聖剣術LV1 体力回復LV1 魔力回復LV1 火魔法LV1
称号
鈍感王
トラブルメーカー
女神の加護
ほら!僕勇者だから結奈さんのこと守るよ!だからそんなこと言わずに一緒に組もう?ね?」
「勇者なら優がいるし、しかも優の方が強い。だから嫌。ていうか優より強くても嫌。」
結奈全力過ぎるぞ。
少し中島が可哀想に見えてきた。
「そんな馬鹿な!このクラスで僕が一番強いんだよ?ね?みんな!」
そう言って中島は取り巻きに問いかけた。
「ええそうですわね!晴人さんより強い人などおりません!」
「そうだよ!晴人より強い人なんていないよ!」
「晴人より強い、嘘。」
そう答えたのは取り巻きABCだ。
晴人絡みになるとウザさが異常になるから名前すら覚えてない。覚えていても言いたくもないが…
「ほら!みんなそう言ってるじゃないか!そんなに言うなら優くんのステータス見せて見てよ!」
中島は単体でもウザいが取り巻きが絡むと取り巻きの意見しか聞かないからなおのことめんどくさい。
「ほらよ」
優はそう言いステータスを見せた。
いい加減起き上がれよ…
「そ、そんな馬鹿な…
優くんの方が強いなんて最初だけだからね!すぐに抜かしてみせるよ!」
そう言って優と俺のことを睨みながら去っていった。俺なんかしたか…?一言も話してないんだが。
「あーめんどくさかった!本当に絡んでこないで欲しいんだけどなぁー」
結奈はそう清々しく言い放った。
「すまねえが一緒に組んでくれねえか?」
そう言ってきたのは佐藤一馬だった。
向こうの世界でも偶に俺たちと遊んでいたからあと一人は一馬だろうと思っていた。
金髪の短髪で目つきがかなり厳ついが顔は悪くない。しかし185もある身長とその口調そして目つきの所為で敬遠されがちだが仲間思いのいい奴だ。
「一馬か。勿論構わないさ。」
「一馬遅いよ!一馬が早く来ない所為であの気持ち悪いのが寄ってきたじゃん!」
本当に結奈は中島のことが嫌いだな…
あんまり人の好き嫌いはしない子なんだがな。
「いやあいつがいたのが見えたから居なくなるまで待ってたんだよ。」
ここにいる五人は基本的に中島に関わりたくない人達だ。向こうの世界ではあいつの勘違いの所為で振り回されたからな…
「一馬、そういえばステータス見せてくれよ!」
優そろそろ起きないともう一発行くぞ。
と心の中で言って置いたが伝わらないだろうからもう一発は確実だな仕方ない。次は夏美がいないところで殺ろう…
「またお前らはいちゃついてんのかよ…」
そう言いながら一馬はステータスを見せてきた。
種族人族
名前佐藤一馬
職業円卓の騎士
主人 未選択
LV1
HP2200
MP800
攻撃力600
防御力1300
素早さ300
運60
スキル
守護LV1 近接格闘術LV2 堅牢LV2 鉄壁LV3 剣術LV1
気配察知LV2 土魔法LV1
称号
騎士王
武神の加護
守護者
ん?こいつなかなかチートじゃないか?
てか下手したら中島より強いよな…
「中島より強くね?あいつなんか可哀想だな!」
優、嬉しそうに言うんじゃない。
「よしパーティーも組めたしそろそろ戻りましょ!」
「ええーもうちょっと優くん膝枕してたかったなぁ」
「はいはい、ご馳走さま。いいから戻るわよ。」
「はーい…」
夏美影薄すぎないか…
まあ優の近くにいると基本的に優のこと見てるだけであんまり会話に入ってこないのは前からだし気にしないでおこう。
俺たちは騎士にパーティー報告をし部屋へと戻っていった。
ローラ視点
時は少し遡り訓練場を出て行ってすぐのことだ。
なんてことでしょう。召喚者の中に遊び人なんて不遇職業が居ると思わなかったわ。どうにかして処理しないと…
「召喚者達にはいつ頃迷宮に潜らせる予定なの?」
王女はそう言って近くの騎士に問いかけた。
「そうですね、基礎ができてなければ話にならないので戦闘訓練を少しは積ませなければなりません。そうした場合早くても2週間後、遅い場合は一ヶ月後くらいになるかと」
「そう、分かったわ。」
王女はしかめ面をしながら答えた。
あの遊び人を迷宮でどう処理しよう?と考えながら部屋に戻っていった。