10話
最初の模擬戦から大体2週間弱経過した。
あの後中島にまぐれだとか僕が負ける筈が無いとか言われたが全部スルーしておいた。
そして今日から迷宮にはいるみたいだ。
迷宮について昨日団長に説明を受けたが一応おさらいとして内容を整理しよう。
迷宮とはこの国が出来る前からありどうやって出来たのかは不明である。世界にはいくつもの迷宮があるがこの大陸で最も有名な四つの迷宮がある。それは四か国に一つずつ存在し大体国の中心付近にある。俺たちが今回潜るのは大迷宮アスラノーカだ。この四大迷宮は未だ最深部に到達することは出来ていない。他の迷宮は大体が最深部まで攻略されているが迷宮から取れる資源が豊富の為完全攻略は余程危険じゃ無い限り禁止されている。迷宮には様々なタイプが有るがアスラノーカは割と普通で魔物、罠などがバランス良く配置されているらしい。現状アスラノーカの最高攻略階数は70階層だ。1〜10階層が初心者用、11〜30階層が中級者用、31〜50階層が上級者用でそれ以降は基本的に化物と呼ばれるくらいの戦力の持ち主でないと突破は不可能だ。効率良くレベルを上げるには自分より強い相手を倒すことなのだが、迷宮ではそれはタブーとされている。しっかりと生還して帰ることが一番の目標といえるからだ。そして階層によって自然の状態も違うらしく初心者用は森や平原、中級者用は砂漠、上級者用は火山地帯、51〜70階層迄は氷雪地帯といわれている。
最初は一週間くらいかけて初心者用で肩慣らしといったところだそうだ。
ここまで長々と整理したが俺たちは今迷宮の目の前にいる。防具も国から支給された物を着ているので弱い魔物では一切攻撃は喰らわないみたいだ。
「いよいよだな!」
「ああ、そうだな。優、テンション上がるのは良いが警戒は怠るなよ。何があってもおかしくは無いからな。夏美は優が変なことをしそうになったら止めてくれ。」
「優くんの近くにいれるなら本望だよ!その役目しっかり果たすね!」
一馬羨ましそうに優を睨むな…
惨めになるだけだぞ。
団長に付いてしばらく歩いていたら洞窟の入り口の様な場所に大きな扉が設置されているところに着いた。団長は扉の横に警備している人と会話をしこちらにきた。
「ではこれから皆さんには迷宮に入ってもらいます。事前に注意事項を言ったと思いますがもう一度だけ。単独行動は出来るだけ避けパーティー同士固まって動くこと、何か異変を感じたらすぐに言うこと、フレンドリーファイアに気をつけること、罠には近づかないこと、油断しないこと、以上です。1パーティーに三人ずつ騎士が護衛として入るのですが危険で無い限り手助けすることはありません。長々となりましたが絶対に気をつけてください。では行きましょう。」
そう言って団長は迷宮の扉を開けた。
扉の中に入ると其処は辺り一面見渡せる草原の様な場所だった。なぜか洞窟の中なのに上を見上げると太陽のような物まである。一階層一階層かなり広いらしく端が見えない。
「ではこれからパーティー別に行動してもらいます。下の階層に向かう階段を見つけた時は騎士に言い私へ連絡するようにしてください。」
クラスメイト達はどっちに行こうと話し合いながらこの場を離れて行った。
「よっしゃ!バンバン魔物狩ってレベル上げようぜ!」
「そうだな!」
「二人とも落ち着きなよ…そんなんじゃいつ死んでもおかしく無いわよ?」
結奈にそう言われてはしゃいでいた二人は肩を竦めながら静かになった。
どっちに向かうか話しながら歩いているとガサガサっと音がした。皆各々の武器を構え緊張しているとそこに現れたのは一匹の白いウサギだった。ただ頭に渦巻き状のツノが生えている以外何の変哲も無いウサギだ。愛くるしく此方を見上げ首を傾げている。
「「可愛い〜!!」」
女子二人が撫でようと近づいて行った時に悪寒が走り女子二人の前出た。ウサギらしからぬスピードで飛び上がり丁度左胸の辺りにツノを刺そうとしてきた。それを咄嗟に鞘に入れたままの時雨で野球のバッターの様にウサギを打ち飛ばした。
「何したんだお前ら!油断するなって言われただろうが!」
飛んでいったウサギの方向を見ながら俺は二人に怒鳴った。肩を竦め謝ってきた二人を無視し、時雨を抜刀した。
草むらに身を隠しながら近くに進んできたウサギはまたツノを刺そうと飛んで来たがそのまま時雨を上から振り抜きウサギを真っ二つにした。
ビシャッと辺り一面が赤黒い血の色で染まった。
時雨の切れ味が良すぎて豆腐を切ったような感覚であり、生命を一つ奪ったという実感があまり持てなかった。
時雨を一回素早く振り刀身に付いていた血を飛ばすとチンッという音をさせ鞘にしまった。
さて説教をしようと思ったが女子二人はあまりにグロテスクな場面を見たせいで吐きそうな顔をしながら涙を流している。
男子達はちゃんと覚悟をしてきていたようで平然としている。
「結奈に夏美は迷宮に来るってなったのに殺す覚悟もしてなかったのか?遊びじゃないんだ。戦闘できないんだったら帰った方がいい。」
そう冷たく言い放った。男子からはあまり言いすぎるなよという目線を向けられているが仕方ない。
「ごめんなさい。私達が覚悟して無かったのが悪いわ…でもここで皆を置いて安全な場所に帰るなんて選択出来るわけないよ…だから次の魔物は私達がやるわ。」
「そうか。なら良い。ただし危険そうなら手助けはするからな?」
俺たちはまた階段を探すためにまた歩き始めた。
暫く歩くとまたさっきのウサギを見つけた。
しかし今回は5、6匹ほどの群れだった。




