50.
「未来から来たってんのも、あながち嘘じゃねえかもしれねえな・・」
冬乃の姿を蔵の中に見止めながら、土方が囁いた。
「かもしれませんね、本当に言い当てているのだとすれば。それとも全く違う話かもしれませんがね」
「ああ。だが、正直驚いた。本当にあの女、もしも何か知っているとして、」
土方は眼を光らせ。
「・・間違っても、口外しねえだろな」
沖田のほうは確信を込めて頷いた。
「あの場で俺たちに言わないくらいです、まさか他の誰にも言うことはないでしょうよ」
土方が、
内々に計画している新見の件を。
まるで冬乃は示唆するかのように『人の生死』と言って告げてきた時。
土方は胸中、動揺した。
「まだ分からねえ、本当に知っているのかどうかなど。だがあの女がどんな些細なことであれ口にするようなそぶりを見せりゃ、然るべき“処置” をとれ」
「・・・ええ」
「とりあえず暫く様子を見る。むしろ、あの女が万が一本当に未来から来たとして全て知っているのだとしたら、使わない手は無え。逃がさねえようにしっかり見張っておけ」
「こちらが見張らずともどこにも行かないでしょうよ」
苦笑しつつ、沖田は。
(本当に。未来から来たと信じてみても悪くはないな)
部屋へと戻ってゆく土方の背を見ながら、そんなことを思ってふと哂った。




