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3.
「知んない。渋谷ついたら電話してって」
「アタシいま香水切れてんだよね、ドンク寄れない?」
「寄るー」
返しながら先に外へ踏み出した千秋が、ふと、
「雨ぇ?」
と顔をもたげた。
「マジ?」
続いた冬乃が空へ手をかざす。確かに僅かな雨粒を手の平に受けて。
「夜には止むといいけど」
冬乃の声は急に起こった風にかき消された。
「もー入んない、食った!」
買い物を済ませた冬乃、千秋、真弓の三人は、回転寿司店に寄って可能な限りの量を平らげた。
「ねー雨止まないんだけどォ・・」
ドア側に座っていた千秋が、外をのぞき見て溜息をつく。センター街を傘を差した人達がだるそうに歩いている。
「もー、やっと来た休みなのに」
のけ反って真弓がうめいた。
「どーする?これから」