表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/372

29.



 「何を黙っている」

 

 考える時間を稼ぐつもりで茶を啜った冬乃に、土方が苛立った声をかけてきた。


 「・・・」

 

 冬乃は、なお答えることができずに、目を逸らした。



 八・一八政変

 

 この時期の、朝廷内の政権を牛耳っていた長州を追い払うべく、会津と薩摩が密かに進めた計画の実行日。

 

 

 密かに、だ。

 

 今も密かに進められ、明日の実行にむけて最終段階に入っているであろうその計画を、会津と薩摩に関係の無い冬乃が知っていて良いはずがないのでは・・。

 

 (待った)

 つと、冬乃は思考を返した。

 

 (べつに、知っていて良いんだっけ)

 未来から来たのだから、そういえば知っていて当たり前である。

 

 (そうじゃなくて・・、問題は・・・)

 


 歴史の流れを壊すかもしれない危険性。

 


 ・・冬乃が。

 

 今、ここで明日成る政変を告げたが為に、起こりうることは何か。

 


 (例えば・・もしも、)

 

 この夕餉の場に、長州の手の者が居るとしたら。

 そしてその者が、冬乃の告げた事を半信半疑であれ、親元の長州に報告に行ったとして。

 

 その報告を受けた長州が、念を入れて確認に動き。

 結果、長州が、会津薩摩の計画を暴きだすことがあったならば。

 

 (歴史が、変わってしまう、)

 

 それだけの危険性を。

 

 冬乃は抱えているのではないか。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ