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13.



 ようやく落ち着き、現実的な感覚が冬乃に戻った頃。


 自分にわかるかぎりの説明を試みた冬乃の努力は、土方に一蹴された。


 「つくならもっとましな嘘をつけ!先の世から来たなんて話、誰が信じるか!」


 「わ、私だって信じられません!けど貴方は正真正銘の土方歳三様でしょう?」

 「俺が偽者でたまるか!」


 二人のやりとりに、というより土方の受け答えに、隣で沖田が噴き出した。


 「沖田様も信じてくださらないのですか・・っ」

 冬乃は必死に縋る。


 「残念ながら、」 

 沖田が肩をすくめて冬乃を見やった。


 「信じろってのが無理な話でしょうよ、ええと・・冬乃さんだっけ」


 「どうしたらっ、信じていただけるのですか!」


 冬乃は泣きたくなってきた。自分だって、平成の剣道の大会場に居たはずが、気づいたら江戸時代の京都、壬生に居た・・なんて事態をいきなり信じきれるはずがない。


 「あの、本当にこれはなにかの悪戯かなにかではありませんか、」


 だけど、信じたい、


 「私は騙されてて、貴方がたは沖田様でも土方様でもなくて、」


 信じたい。


 逢いにこれたのだと。


 沖田様、本当に、


 「きっとそのへんに千秋たちが隠れてて私が信じたがってるのを笑ってたりして?」

 

 貴方は本物だと。


 「千秋?誰だ、それは。貴様の仲間か!」


 土方がその秀麗な目元を釣りあげた。


 「仲間って・・私が何だとお思いなんです」

 「とぼけやがって。貴様、密偵だろう、女だからって俺達は容赦しねえよ」

 「密偵!?」

 驚きを通り越し、冬乃は笑い出してしまった。


 (すごすぎ!マジで言ってることが幕末だから!)


 「土方様、私が密偵ならこんな間抜け丸出しで見つかるまねはしません」





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