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碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。  作者: 宵月葵
【 第一部 】 叶わない想い
12/372

11.



 「冬乃!!」

 千秋と真弓が駆け寄る。そのなかに母と義父の姿は勿論、無い。


 「改めておめでと!!」


 今いちばん逢いたい人も、勿論いるわけがなく。


 「・・逢いたい」


 「イタイって、どっか打ったの?!」

 周りが騒がしいせいでよく聞き取れなかった千秋が、驚いて冬乃の肩を掴んだ。


 「え?」

 当惑した面持ちで覗き込む千秋と真弓を、ふと冬乃は、我に返って見つめ、


 「うん、・・」

 (そういえば、確かに)


 「痛い・・」


 「どこ?!」


 冬乃は首を振ると押し黙った。


 (なんだろう、この痛み・・)


 「冬乃、マジ大丈夫なの?」


 再び首を振る。


 「誰か呼ぶ?」


 「頭が・・・」

 「頭?どのへん?!」

 真弓が瞬時に反応して、冬乃の頭に手をやった。


 「何かに引っぱられてるような、カンジなんだけど、」


 (ぼうっとする・・)


 「引っぱられてる?」


 千秋と真弓は顔を見合わせた。


 「医務室に行こう。歩ける?」

 「うん、・・」


 (よく前が見えない・・・これは何?・・


 ・・・霧?)


 「冬乃?冬乃、大丈夫?!」


 「冬乃!!」


 遠くで、千秋たちの叫ぶ声が聞こえる。


 薄れてゆく意識のなかで、その声もやがて深い霧の壁に徐々に閉ざされていった。









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