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碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。  作者: 宵月葵
【 第一部 】 叶わない想い
11/372

10.




 パーン!


 「面あり!!」


 弾かれたように勢いよく上がった赤旗が、冬乃の視界の端に映り、冬乃は湧き起こる歓声のなか竹刀を引いた。


 ”女子個人戦の部、全日本二年連続優勝”


 この広い大会場において、冬乃の名とその肩書きを知らない者はいない。


 そして今回、


 「やったあ冬乃!!三年連続優勝!すごすぎ!!」


 応援に駆けつけていた千秋が抱きついた。


 「行ってきな」


 真弓が表彰台を指して、冬乃の肩を叩いた。




 盛大な拍手の波にひかれるように、冬乃はトロフィを抱えて台をゆっくりと降りてゆく。


 ───初めて竹刀を握った幼い日のことを思い出していた。


 (あの頃は、まだ信じてたんだよね・・)


 いつか彼に逢えることを。本気で。


 その時のために、始めた剣道。


 それから九年間、冬乃は着実に上達した。


 上達とともに、冬乃は大人になってゆき、現実を知った。


 所詮叶わぬ願い。


 想いは、だが、憧憬から恋へと。つのるばかりだった。



 「これで閉会式を終了します。一同、礼」


 一瞬のち、会場内は俄かに湧いた。



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