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碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。  作者: 宵月葵
【 第一部 】 叶わない想い
10/372

9.



 (なにを我がもの顔に・・私のほうがずっと一緒にいたのに、妻の味方って顔して、父親らしい態度なんか何一つできないで)


 義父の怒号と母の叫び声は、塞いだ両耳になお響き渡り、容赦なく嵐のように降り注ぐ。


 (自分達だって子供の頃があったくせに、なんでわからないの)


 親との不和は、親の想像するよりも遥かに深く、子を傷つける。

 衣食住だけではない、子が精神面で頼れる存在もまた親であるべきはずが。その頼る先を長く失った子の気持ちなど、想像もできない二人。



 (もういや、こんな世界・・)


 母と心の通わない年月。気性の荒い義父の、度重なる言葉の暴力。

 そして、

 それを止めようとはしない母。

 

 冬乃の居場所は、此処には無く。

 

 

 いっそ早く死んでしまいたいと、何度願っただろう。

 

 そのたびに想うのは、愛する人だった。

 

 どれほど苦しくても、

 彼のように、与えられた寿命を最期まで生きなくてはいけないと、

 それが彼を愛する資格だと。思って。

 耐えてきた。

 

 

 

 「いい加減にしろ!!早く開けろ!!」

 

 「あなた、もういいわよ!あんな子、何言っても無駄よ・・!」





 沖田様。


 


 もうこんな世界、捨てたい。

 



 私の寿命を貴方にあげれたなら。

 

 私の分を貴方がもっと生きられたなら。

 



 貴方が早くに亡くなって、

 

 死にたいと思ってるこんな私がいつまでも生きてるなんて、

 

 なんて不公平なのですか。

 

 ごめんなさい。

 

 わがままだって、わかってる。

 

 でも、もう。

 

 ときどき限界になるんです。







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