幼女救済
自分の種族が気になった俺。
まあ、物理無効の種族って聞いたら大体分かったんだけどさ、認めたくないやん?
可愛いと思うけどさあ、なりたくはないよ。
大丈夫、まだ可能性の話だから。
きっと俺は、イケメンで、女の子からキャーキャー言われる程のイケメンのはず!
『マスターの種族は、スライム、正式名称は、粘性液体生物です。』
うん、知ってたよ?分かってたよ?
けどさ、認めたくないやん。
絶対弱いもん。
俺はスライムに転生してしまったようだ。
泣いてもいいですか。
それより、スライムに正式名称なんかあったの?
『スライムとは、人が呼んだ名前であり、それが生物全体に広がって行った名前です。』
ほうほう。
スライムの名前の由来が気になるところだが、今はスライムになってしまったことによる悲壮感を味わっておこう。
さて、この穴を登ることについてだが、先生に頼むことはできるか?
『可能です。』
流石先生!では、お願いします!
こうして俺は、穴から出たのだが、出るまでに落ちてから1日が過ぎており、このうち六割が、俺が登りながら寝て、落下したことによる原因だったのは秘密だ。
あー、やっぱり地上の空気はいいね。ていうか、先生、出るまでに時間がかかり過ぎでしょ。
『………』
あれ、怒ってる?いや、気のせいだろう。スキルに感情があるわけないのだから。
今森を散策中なのだが、なにか声が聞こえてくる。すこし気になったので、声が聞こえてくる方に向かった。そして、そこで見た光景が衝撃的だった。
「やめて!やめてよ!」
見た感じ、七、八歳ぐらいの少女が、オークに襲われている。
しかも、ゴブリンをかばいながら!
なんかの事情ありなのかな?
助けたいけど、オークに勝てるかわからんな、先生、俺に攻撃手段はあるか?
『種族スキルで、捕食、分解があります。』
とりあえず、エロいことになる前に捕食してみるか。
そして俺は、オークの背後に回った。
すぐ近くに来た瞬間に、捕食をした。
なにか体の中で、暴れるような感じがある。胃袋かなんかあるのかな?先生、分解とは。
『捕食したものを、魔素、魔力に変換するものです。』
ほう。試しに分解してみよう。そして、分解した瞬間に、思いっきり暴れられたが、一秒たったら収まった。
収まった瞬間に、何かを食ったような感じがするから、分解ができたのかな?
「た、助けてくれたの?」
ああ、忘れてた。ていうか、俺喋れないじゃん。あれ、詰んだ?と思った俺はあることを考えた!
人間の声帯を、真似ればいいんじゃね?
先生の能力には、解析やらなんやらと色々あるし、ということで、すこし失礼します。
「ひっ!」
めちゃくちゃ怖がってる。
大丈夫大丈夫。
よし、声帯を解析と。
そして、それを真似る。
よし、これで声が出るはず。
「アあ、ごメンね。」
なんか少し変だな。要練習だな。
事情を聞くと、この先に、ゴブリンの村があるらしい。
そこは、ゴブリンが30匹ぐらい居て、人間もいるらしい。驚きだ。
だが、他の魔物から、かなり嫌われているそうで、今も、村から出てきたところを狙われたらしい。
ふむ、人と魔物が共存する村か。気になるな。
「私達の村を助けてください!」
そう、言われた。どうしよう、助けたいけど、助けれるかどうかわからん。
なにから助けて欲しいかと聞くと、オークが、10数匹村にやって来ては、食料を奪っていったり、村を荒らしていくとらしいのだ。
てか、あんな弱いのが10匹ちょっとって、そんなにその村は弱いのか?
そう疑問に思ったが、あとから聞くと、オークは結構強いらしい。
ゴブリンが8人で戦って、やっと1体を倒せるぐらいらしい。
だが、それを知らない俺は、楽勝だろうと思って村まで案内された。
村まで案内され、そこで見た光景は、ボロい藁の小屋が立っていた。
人間がいるならもっとマシだろうと思ったが、ここは、迫害された人が集まっているらしい。
人数も少なく、大体はゴブリンがやっているらしい。
そんな小屋でも、少しだけでかい小屋に案内された。
そこには、村長がいた。
「マリ、このスライムはなんだ!」
と、少女に言った。名前はマリらしい。
「私がオークに襲われた時に、助けてくれた人です。」
「なんと。スライムが!?」
そのゴブリンの爺さんが驚いている。無理もない。
普通弱いはずのスライムがオークを倒しているのだから。
そんなことも知らず、横淮は、この村を助けると宣言した。
「おお。本当ですか!ありがとうございます。もう、この村はオークによって滅びそうだったのです。それより、オークを倒したとのことですが、まさか名前をお持ちなのでしょうか?」
名前か、横淮って名乗るのもなんだし、
「俺の名前は、カミエだ。」
上下 横淮→上淮→カミエという、安直な名前になった。
変な名前になったが、気にしない気にしない。
「おお!まさか名前をお持ちとは!」
ん?その言い方だと、名前を持つのは珍しいみたいな言い方だな。
「名前を持っているのは珍しいのか?」
そう聞いてみたら、名前を持つということは、ネームドとして、魔物としての位が上がるとのこと。
俺、自分で名前付けちゃったけど大丈夫かな?そう思っていたら、
「オークが来たぞ!」
そう、外から声が聞こえた。村中が騒がしくなり、みんなが、オークが来たとされる方角の逆へ逃げていく。
「カミエ様、どうかこの村をお救い下さい!」
爺さんが俺にそう言ってくる。
オークはさっき倒したけど、そんなに強くなかったしな。
「わかった、俺に任せろ!」
返事を返し、俺は小屋から出てオークのいる方向に向かった。