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夕焼けショコラティエ  作者: 香ノ月 十佳
第一章 新しい恋人たち
9/50

ぐるーぷでーと

 多くの人が待ち合わせの場所にしている、とある街の噴水の前で。

 意外とたくさんの人が待っていました。


「……聞いてないぞ、この状況は」

 戸惑う斎藤さいとう君。


「おっはよー!斎藤君だねっ!初めましてっ、話はりりちゃんから聞いてるよっ!今日はよろしくね?」

 トップバッターは元気な井上さんちのりんちゃんです。

 ポニテボクっ娘は今日も元気です。


「初めまして、早島奏はやしま かなでと申します。こちらの井上凛さんとお付き合いをしております」

 大人な早島さんです。

 カジュアルドレスシャツとスラックスが格好いい。


「おはよう斎藤君……今日は天気もいい。十分に楽しむといい」

 そうだ、楽しむといい。

 小さな天使、園上真理そのうえまりさん。


「初めましてみなさん。江西広汰えにし ひろたといいます。園上真理さんとお付き合いをしております。今日はよろしくお願いいたします。」

 大柄で大人な人です。

 大人びた熊さん?淡い青色のグラデーションシャツがオシャンティー。


笠薙静真かさなぎしずまです、おはようございます。斎藤、きちんときてくれてありがとうな。それからこっちが俺の嫁の優子だ」

 でた!本物の熊だ。

 初対面の方もいるので丁寧です。

 そして嫁は前髪ぱっつんです。


「し、静真さん……。初めまして、静真さんの妻……いえ、あの恋人の島澤優子しまさわゆうこです。今日はよろしくお願いいたします」

 惚気られた古風美少女さん。

 お胸すごいです。


「おはよーっ!斎藤君っ!川瀬皆八木雪那かわせみなやぎ ゆきなですっ!衣津々(いつづ)フミ君とらぶらぶですっ!今日はよろしくね?」

 とっても元気な小悪魔ユキナ。

 フルネーム言うの大変ですよね。

 あ、その桜色のスカート、白い上着とあっていて可愛い。


「ははは、ちょっと大変だけど頑張ってね?おはよう、斎藤君。改めて……衣津々です。今日はよろしくお願いします」

 ユキナさんの旦那、フミ君。斎藤君を助けてあげてね?


 そして、今日の天使は。


「カズ君おはよう、きてくれてありがとう……嬉しいです!今日は、一緒に楽しもうね?」

 頑張ってお洒落したの!ということが全身から聞こえてくるような、可愛いガーリッシュなワンピースをその身に、肩に薄い黒のケープをまとって、頭に淡い白さのベレー帽を、ちょこんとのせていました。

 そんな子が、きらきらとした笑顔を向けています。かわいー!


「あ、ああ……。これは一体どうなってるんだ?笠薙と衣津々と遊ぶのかと思ってたんだが、なんで恋人四組とかいう独り者(シングル)にきついシチュエーションになってるんだ?」

 もう、なにがなんだか分からなくなっている、斎藤君。

 実は、自分でも何喋っているか分からなくなっています。

 天使の魅力はキラキラです。


「見てのとおりだが……ああそうだ、悪いんだが、たまたま佐藤も恋人がいなくてな、斎藤なら毎日のよしみもあるだろうし、一緒に回ってくれると助かる。頼めるな?」

 大きな熊さんが、なにを言っているんだ?みたいな感じで答えてくれます。

 あまったれるな新兵よ!

 そして天使は君の傍に。


「お、俺はべべ、別に構わないけど……莉理花りりかが嫌がるんじゃ……」

 動揺する斎藤君。莉理花ちゃん可愛いよね?

「私は嫌じゃないよ?カズくん。一緒に回ろ?」

「お、おう」

 天使様は嬉しそうでした。


 お昼休憩のカフェテラスです。

 男の子組と女の子組で分かれて座っています。


「いやー……しかしすみませんね。皆さんのような若い学生さんたちと一緒に遊ばせてもらって」

「ははは……同じくですよ。凛から言われたときは、少し戸惑いを感じましたが、来て良かったですね」

 大人な早島さんと、江西さん。お二人ともまだお若いですよ?


「ええ。私も愛する真理のためならば、と踏ん切った甲斐がありました」

 愛する人の為に頑張れる江西さん、素敵です。


「お二方とも、こちらこそありがとうございます。二人のような大人の方が一緒にいて下さるのは安心感がありますしね」

 熊さんも十分、安心感ありますよ?


「それにしても笠薙さんは」

「笠薙、で結構ですよ。こちらは若輩者ですので」

「そうですか、それでしたら笠薙君ということで。笠薙君も学生さんということでいいのですよね?なかなかの貫禄ありますよね」

 そのとおりです。

 熊です。


「そうそう……お恥ずかしながら、私と同い年位かと思っていましたよ。真理が私と同じくらい大きな人、というものですからてっきり」

 江西さんも大きいもんね。


「ありがとうございます。そういえば江西さんも何か運動をなさっているので?」

「いえいえ、もう社会人になってからは特にこれといっては。学生時代は柔道を少々やっていたくらいでして」

 なるほどー。


「お二人とも武道経験者なのですね。私もスポーツは嗜みますが、武道は経験がないところです。もしよければそのうち、御指南頂きたいものです」

 いいのかい早島さん?


「井上さんは、確か水泳が得意だったかな。それで、早島さんも水泳などをするんですか?」

 そうなの?フミくん。


「ええ、そうですね。あと、凛とはたまにアスレチックやボルダリングも行きますね」

「へー、ボルダリングですか、面白そうですね」

「ええ……頭も使いますがなにより、シンプルに登る、という動作は面白いものですよ」

 アウトドアなお二方なのですね。

 ボクっ娘凛ちゃんにはぴったりです。


「……衣津々も笠薙もすごいなぁ、普通に大人の人と会話が成り立っている……これがあの一組の人間か……」

 思い知ったか、一組の実力を。


「何言ってるのさ、斎藤君。君もなにか好きな遊び位あるでしょ?」

 さらーりと援護射撃なフミ君。


「ああ、んー……ちびたちと、簡単なボール遊びや鬼ごっことかはするが、そうだなぁ。授業以外だとそうやって遊んだことなかったなぁ」

 ……!


「っ……!」

「ぐ……!」

「く……!」

 急に胸を抑える男衆。


「苦労したんだね……斎藤君……」

 今日の為に、斎藤君と佐藤さんの事情は知っていたはずなのですが、リアルな発言は迫力がありました。


「な、なんでみんなそんないたたまれないような表情を……べ、別にそれが嫌だったわけでも不満があったわけでもないぞ。単に、ああ、そういう遊びもあるんだなぁ、って感心しただけで」

 ふいっと照れたようにそっぽを向く斎藤君。


「「いい子だなぁ……」」

 呟きが重なる、大人衆二人。


「ああ……ここは是非。一人の大人、いや男として君に敬意を表しよう。何か困ったことがあれば遠慮なく言ってくれ、力になろうじゃないか」

「私もです。何か困ったことがあれば、頼ってきてください。ええ……大人は子供を守り導くものですから」

 いい人たちです。


「俺は、斎藤をみくびっていたようだ。これからは友と呼ぶがいい」

 それって、宿敵とかいう字を書かないですよね?熊さん。

「いや、だから……」

 良かったですね、斎藤君。




 女の子テーブルです。


「ねぇねぇ、今日の格好、可愛いねっ!」

 口火を切るのはユキナさん。


「うんうん。小さなリボンが、小さな莉理花ちゃんをさらに愛おしい妖精さんに変えているよ。フリルのついた紺のワンピースと白いブラウスがこんなに似合うなんてっ!!」

 凛ちゃんもぷるぷるしています。

 ある種の芸術です。


「莉理花は何をきてもかわいい。特に薄い黒のケープはミステリアス」

 そう、黒は女をミステリアスにみせるの。


「本当に、小さな天使みたいで素敵だわ。靴もヒールではないけれど、かえってそれがピュアな空気を生み出しているわね」

 あなたも結構ピュアピュアですよ?島澤さん。


「み、みんな……ありがとう。えへへ」

 とっても可愛くはにかむ佐藤さんちの莉理花ちゃん。


「きゃーっ!りりちゃんっ、かわぅいー!」

 ユキナさんは耐えられなかったご様子。

「これだけ可愛いと、男の子なんてイチコロだと思うんだけどっ!……斎藤君はかわいいっていってくれた?」

 もちろんですよね?


「うん、ええと。『可愛らしい格好してるなぁ』って言ってくれたのっ!」

 にっこりと喜ぶ莉理花さん。

 ……ん??


「……」

「……」

「うん、よかったね……」

「まだ、どきどきが足りないのではないかしら……これでは」

 ちょっと言葉が違いませんか?斎藤君。


「そだね。これではりりちゃんが、一方的に好いているだけだよ」

「こんなに可愛いのに……」

 そうなのに。


「よしっ!ならば次は、仕草でどきっとさせよう!」

 これも女の子のための、魅惑の技術です。


「抱き着くのは最後の手段だよ?」

 それは小悪魔テクニックです、ユキナさん。


「いきなりはないよっ!んー、たとえば、髪を撫でつけたりとか、呼ばれたときにそっと後ろを振り返る動作とか、その小ささを逆手にとった上目遣いでの微笑みとか!」

 こ、小悪魔がいるよ。


「あとはシチュエーションで絡める」

 小さなまりちゃんも乗っかります。えー。


「ねぇ……静真さんたち、なんだかよくわからない盛り上がり方しているわ?」

 丁度、男衆の盛り上がりが聞こえたようですね。



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