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夕焼けショコラティエ  作者: 香ノ月 十佳
第一章 新しい恋人たち
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デートの準備

「で、こうなりましたー!」


 学校帰り、ショッピングスクエアの入り口にて。

 そこには両手を天に突きあげるツーサイドアップ元気っ娘と、そのお友達が集合していました。ゆーこちゃんもいます。


「ゆーこと一緒にステラ・シルクに行くことになろうとはっ!」

「ゆーこも彼氏ができたのねっ、おめでとー!」

「古風な島澤さんと、古風な笠薙君の組み合わせはぴったりね」

「ねぇね~笠薙君ってどう?どう?」

「み、みんな……ちょ、ちょっとまって」

 四人一度に話しかけられて、たじたじな島澤さん。みんな元気だねっ!


「仕方ないわ……島澤さん、少し近寄りがたいくらい綺麗なうえに、教室でも静かに本を読んだり、笠薙君とお話していることが多かったから。みんな興味津々よ?」

 と、三つ編みおさげ眼鏡っ娘が、おさげを触りながら話します。

 彼女の名前は、工藤さん。


「ユキナとゆーこが彼氏を作ったから、あとは、佐藤さんと月川さんだけか……うちのクラスの子って、殆どくっついているね」

 ミディアムロングにリボンなお嬢さんが、指を二本立ててぶいぶいしている。

 お嬢さんの名前は妃が丘(きさきがおか)さん。


「佐藤さん、いつも寝てるし……よくわからないなー」

 ポニテっ娘が腕を組んで頷いている。井上さんと申します。


「あの子、ちっちゃくて可愛いのよね~」

 ゆるふわロングウェーブのほわーんとした少女が、頬に手を当ててあらあらまあまあしている。

 山海やまみさんだよ!


「あんまり喋らないしねー」

 川瀬皆八木かわせみなやぎさんは鞄を勢いよく振り回している。こどもっぽい。

「あ、でもお裁縫はすごいよ!家庭科の時間にものすごい勢いで服作ってた。なんか小さいサイズのものが多かったけど」

 よくみてるね。


「お昼はお弁当をもってきてたよねっ……そういえば、誰と一緒に食べてたかな?」

 ぞろぞろとお店に向かって歩きながら、ポニテ娘こと井上さんが言う。

「確か、園上そのうえさんと三橋みはしさんと一緒ではなかったかしら?」

 顎に指をあてて答えるおさげ眼鏡の工藤さん。


「ああ……マスコット三姉妹!」

 小さくて可愛いからね。三人とも。

「そのちーと、みゆみゆは彼氏いるよね?」

 みゆみゆ?ああ、三橋由美みはしゆみさんですね。


「そうね~……確か、年上の方とお付き合いしているようなことを。言ってましたわね~」

「わかるっ……あの子たち、庇護欲そそるもんっ!年上の男の人からみたらイチコロだよねっ!」

 きゃいきゃいと楽しそうにお話が弾む女子の会話。


「月川さんは、どうなのかしら?」

 気になって質問する島澤さん。


「姫かー……」

「姫ちゃんは、ハードルが高いのよねー」

「姫ちゃん……お見合いが多くて、もう男の人はイヤって言ってた!」

 川瀬皆八木さんは情報通。


「お嬢様だしね、お付き合いも大変そう」

「彼氏さんができても、ご両親の圧力がすごそうですしね~」

「あたしが男で、姫ちゃんの彼氏だったら、多分ご両親の圧力に耐えかねて心折れるわっ!きっと!」

 こわい。


「庶民とでは、住む世界が違うのねー」

「そう……月川さんも大変なのね、知らなかったわ」

「お嬢様といえば、ゆーこもお嬢様っぽいよ?」

 確かに。


「そうそう、高嶺の花がついに人の手に渡るとは!」

 人?熊?

「そ、そう……?」

 ちょっとどきどきしてる島澤さん。お嬢様っていい響きだね。


「ゆーこ、姿勢がいいし、座ってる姿綺麗よね?女の私たちでも話しかけづらい感があったけど」

 立てば芍薬しゃくやく座れば牡丹ぼたん、歩く姿は百合の花。


「でも、これからは大丈夫ね!今までは、静かで凛としたゆーこと、大きな笠薙君の席に近寄るのがちょっとどきどきだったけど、らぶらぶなのが分かれば、もうこっちのものよ!」

 これからの日常会話、ポニテっ娘が乱入してきます。


「そんなふうに思われていたのね……話してみないとわからないものだわ」

 そうだね。



 年頃の少女が喜びそうな綺麗なお店、ステラ・シルク。

 綺麗で華やかで、そしてリーズナブルかつファッショナブルなお店なのです。


「ゆーこって、リップは何を使ってるの?どうやったら、そんなにぷっくり綺麗な桜色になるの?色っぽいー!」

 妃が丘さんが、ぷにぷにと自分の唇を押しながら、島澤さんに尋ねる。

 妃さんも十分ぷっくり綺麗です。


「え、ええと。以前は乾燥用だけだったのだけど、その……今は、これを使っているわ」

 島澤さんは、沢山並んでいる似たようなリップの内の一つを指さす。種類すごく多いですね。

「この薄い色のものなのね。ということは、結構天然色……」

 おさげ眼鏡工藤さんが、両手に持っているリップと島澤さんが使っているらしいリップの色を見比べている。唇の健康コンディションにも気を使います。


「どのくらいつけるのー?」

 ポニテっ娘井上さんがくりくりー、とサンプルリップをひねり出している。

「そ、そうね……朝、家を出る前に軽く引いて、お昼の食事が終わって歯を磨いた後に薄く、かしら」

「ゆーこ、結構女の子してる!」

 いつのまにか後ろから抱き着く小悪魔ユキナ。


「好きな人ができると変わるわよね~……色んな事」

 山海さんがのほほんとのたまわれる。

 きゃっきゃっと化粧品のコーナーでお話ししている。

 服を見にきたのでは?



「あら~、このリングいいわね~……」

 ほわわん山海さんが指輪に見入ってます。

「ほんとね……薄い金の色合いに、少し青い色が入っているのかしら、綺麗ね。それに指輪ってなにか特別な気がするし、どきどきするわね」

 いろんなコーナーを回ってきた、島澤さんも乗り気です。


「お、お?指輪は笠薙君からもらえるんでしょ?」

 指輪エリアにニューチャレンジャー・ユキナ。

「川瀬皆八木さんは、衣津々君からもらったのかしら?」

「ふっふっふー。まだですっ!」

 えっへん、と胸を張る川瀬皆八木さん。


「もらえたら嬉しいけど、催促するのは違うしね……」

 いろんなリングを見ながら呟く妃が丘さん。

「指のサイズをさりげなく測られ始めたら……くるわよ?」

 みんなが集まっているのでやってきた、おさげ眼鏡工藤さんがひょいと会話に交じってくる。


「あ……ボク、こないだ指の絡めっこ遊びしたよ!ひょっとしてひょっとするのかなぁ」

 えへへ、とまさかのボクっ娘ポニテ井上さんも参上。ひょっとします。

 きゃー、と一斉に黄色い声が上がる。



 その後、軽食コーナーで少しのスイーツと飲み物を囲んでお話が弾んでいたようです。

 服はまた今度ですね。


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