68 鱗
「奴には殆どの銃が通用しなかった」
僕は驚きを隠せなかった。
ラベルから話を聞く限り、銃が通用しなかったと言うのだ。
「そんな馬鹿な…………」
僕が言うと、ラベルは吐き捨てるように言った。
「俺だって信じたくないさ。けれど、本当だ」
「…………………」
僕は黙った。
そして、考え出す。
リヴァイアサンに通用する武器を思い出しているのだ。
リヴァイアサンには基本的に殆どの銃が効いた筈だ。
それが効かないとなると_____
予想以上の強化個体であることは間違いない。
しかも、ラベルの友人が持っていた高ランクのアサルトライフルでも傷一つ負わせれなかったらしい。
有り得ない事だ。
この世界はゲーム時代の計算式でダメージが決まるわけではない。
あくまで現実に基づいたダメージなのだ。
その条件でダメージ0とは、つまりそれが異常に硬い事を意味する。
銃の攻撃を食らっても傷を負わない物質はある。
しかし、件の銃は高ランク_____
地球の法則を超越した武器だ。
それに、僕達だってやろうとすればコンクリートを素手で砕けるほどの力がある。たとえ、ミリルのような華奢な体でも。
「これがその鱗だ」
ラベルが取り出したのは一枚の鱗。
偶然剥がれたのが落ちてきていたらしい。
僕はそれを見つめた。
青い鱗だ。叩いてみると、鉄のような感触すらある。異常な強度であることは間違いない。
僕がそうするのを見たラベルは、もう一つ取り出してきた。
それは、少し折れ曲がった鱗。
「俺らが総力を挙げてこれしか曲げれない」
ラベルが付け加える。
「表面の少しの傷はガトリングの傷だ」
ガトリングか。
かなりの威力がある武器である筈だが、鱗の傷は小さい。
ラベルは30分撃った、と続けた。
30分でこの傷では、まるでダメージが通っていない。
傷も癒えた後、ラベルは槍でこの鱗を突き刺したらしい。
しかし、硬すぎて槍が少し欠けるほどだったらしい。
ラベルの筋力は僕をも上回る。
僕が物理戦闘ではなく中距離での戦闘を中心にしているため、僕の筋力パラメーターはそこまで上がっていない。
しかし、その点を加えても結構なレベル差だ。
それを余裕で覆している。
そのため驚異的な力の持ち主であるラベルが、全力で突いた傷がこれだ。
ラベルでこれか、と少し残念に思う。
僕は試しに力を込めて鱗を割ろうとしてみた。
びくともしない。
金属を折ろうとしているような、そんな感触だ。
物理法則を超越した世界のモンスターは、ここまで強くなっていたか。




