66 疑問
「全員生きてるか」
俺は呼び掛けた。
それに答えてプレイヤー達が声を上げる。
「ちくしょう、何だあの強さは…………」
ザンジが地面を踏みながら言う。
確かに俺も引っ掛かっていた。
まるで負けイベント。
負ける事が確定した、勝ちなど最初から存在しないイベントだ。
あのリヴァイアサンの強さは異常だった。
俺たちのレベルを遥かに超え、尚且つ知能までが発達した…………
ゲーム時代であれば、難易度10までは行かないが、9であってもおかしくない強さだ。身体能力と魔法の両立を見事にやってのけたのだから。
レールガンでやっとダメージが通る現実を突きつけられ、俺はしばし放心していた。
このウェーブの目標レベルは確か250万が最低だった筈だ。
しかし、レールガンでダメージが殆ど通らないような敵なら、軽くレベル500万を越しているに違いない。
俺はレベル294万。全く届かない。
「リクなら、出来るだろうか…………」
俺は呟いた。
リクとミリル。
俺たちの中では英雄扱いされているプレイヤー。
特にリクはウェーブ2の暴動戦で大きく活躍していた。デュエル大会には出なかったものの、もし出ていればそこそこの結果を残せていたに違いない。
しかし、上には上がいる。
俺達の手の届かないランキングトップ……………
レベル5億の境地に居るプレイヤー達。
ゲーム時代、俺は良く動画で最前線プレイヤーの攻略を観戦していた。
そこで見たのは、俺達の現実からは考えられない強さを持つ超人達だった。
難易度15+、ゲーム時代最高クラスの難易度のクエストを容易く攻略し、そのボスさえも5分掛からない。
例えば、難易度15の「飛燕龍」のタイムアタック世界記録を持つのはランキング5位だ。
目標レベル5億とか言う馬鹿げた数値の敵を簡単に倒してしまっていた。
ソードマジックは、「インフレと両立した難易度」が有名だった。
いくら強くなっても、いくらでも高みを目指す事が出来る。
現に、最近追加された難易度16は、ランキング32位がぼろ負けして話題になった。
それでも、全難易度それぞれ200以上あるクエストの量だ。
勿論、レベルを上げればあげるほど難しくなり、上手くバランスが取れている。
それがこのゲームを「クソゲー」と呼ばせない由縁だ。
もし、このゲームのバランスが少しでも崩れていたら、今のような人気は無かっただろう。
このゲームはギリギリのバランスで成り立っている。
だからこそ、いきなり敵が強くなる事には疑問しか湧かないのだ。




