62 戦艦
「この魚何だよ」
俺は唸っていた。
俺だけではない。
この場にいる全員が唸っていた。
「いくらファンタジーでもな…………」
「黄色い魚は無いだろ!?」
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「その魚は魚馬さ。海の上を走ってる奴だ」
店員からの解説が入るが、理解できない。
黄色い魚なんて前代未聞だ。
「どうやら魔力回路が通っているようです。雷属性なのでこうなのでしょうか」
俺のギルドの研究員が話す。
もう調べたのか…………
もしかして、もう食べたとか_____
「おいしくいただきました」
食べたのかよ。
「ザンジ………… 俺はこの魚?を買わない」
「そうか? 結構良いと思うがな」
食べ物として黄色の物は余りよろしくない。
加熱すると赤くなるらしいが、元が黄色だと知って食べるのは少し気が引ける。
「俺はこれ買うぜ」
カインが金を渡している。
「言っておくが、俺には食わせるなよ」
一応言っておく。
逆効果になるかもしれないが、念のためだ。
「兄ちゃん、市場に行ったらどうだい? 今漁船が帰ってきたようだよ」
行ってみよう。
この世界の漁船がどのようなものか知りたい。
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「これ、本当に漁船か?」
この世界は突っ込み所が多すぎる。
いくらなんでもこれを漁船と言うわけにはならない。
一見普通の船だが、良く見ると側面には魚雷の発射口がある。
網には電気回路が通っている。まさか、あれで魚を捕る気か?
ミサイルらしき物まで装着され、全面には巨大なドリル。
まるで戦艦だ。
いや、これは戦艦とすら呼ぶのもおかしい。
「あれは海の魔物と戦う為の物さ」
なるほど。海には魚しかいない訳ではないからな。
だが、少々過激な武装のような。
「いや、最近は海にリヴァイアサンが現れてな。襲われたらあれくらいないと撃退できないのさ」
今、結構な重要単語が聞こえた。
もしかしたら、何らかのイベントの開始合図なのかもしれない。
リヴァイアサンはゲーム時代では海エリアに出現するエリアボスだった。
雷と氷、風の魔法を扱う強敵で、ゲームでもトップクラスの大きさを誇るモンスターだった。
しかし、ゲーム中盤の敵であり、わざわざ戦艦を出さずとも、強化した戦闘機でもあれば瞬殺できる。
俺でもソロで勝てる敵だ。
しかし、恐らく強化個体である事は確かだ。このレベルの戦艦で撃退が限界となれば、最悪新加入のハイランカー達を呼んでくることにもなるかもしれない。
出来る限りそのような事態は避けたい。
ハイランカー達は主にクエストの消化委員だ。




