58 魔力暴走
「クソッ」
ボスの魚モンスター、水王ヘルスは回転して氷を弾き飛ばしている。
いくら凍らせても意味がない。
レーザーと回転で全て割られてしまうのだから。
「フリーズ!」
それでもミリルは懸命に魔法を放つ。
しかし、全く意味はない。
「もう良いんだ! MPを温存しろ!」
ラベルが叫ぶ。
それを聞いたミリルがやっと手を止める。
先程から戦況は膠着状態だ。
水中に攻撃を放っても、銃弾は止まってしまうし、凍らせてもすぐに割られてしまう。
「チクショー!」
僕のそばに居たプレイヤーが水中に銃を乱射する。
ガチガチのアーミー装備で固めた彼だが、水の中には銃の弾は通らない。
しかし、不思議な事が起こったのだ。
水中に突入した銃の弾は、止まったかと思うと周りの水を巻き込んで爆発したのだ。
思わず彼の方を向く。
彼のアサルトライフルに挿入されたマガジン____
魔法弾!
まさか、この水がマナの水なのか?
さっきの爆発はマナの水が魔力に反応して暴走を起こした時の物だ。
魔法弾は魔力の塊。なら、暴走を起こしても不思議ではない。
「エクスプロージョン!」
僕は水中に魔法を放った。
本来エクスプロージョンは、中位の爆発を起こす魔法ではあるが、今回は違った。
まるで機雷のように爆発し水の柱を形成する。
それに驚いた水王ヘルスが逃げていくのが分かる。
やはり、これはマナの水で出来ていたのだ。
「おい、今のは___」
カインが近寄ってきて聞いてくる。
僕は答えた。
「これ、全部マナの水だ! 魔法を使えば暴走を起こす!」
それを聞いたカインが急いでラベルの元へ向かう。
そして、ラベルから命令が下された。
「全員、魔法を使用しろ!」
「クソ魚を燃やし尽くしてしまえ!」
簡単な言葉ではあったがその意図は伝わったようで、全員が魔法を準備する。
ボスは逃げているため邪魔は出来ない。今がチャンスだ。
一斉に魔法が放たれる。
炎は水を蒸発させ、水は渦を作り、風は嵐を起こす。
マナの水によって暴走した魔法がボスに向かって放たれる。
「よし、良いぞ!」
僕は思わず叫んだ。
ボスの鱗が剥がれてきている。
氷を割り、攻撃を防ぐ鱗が、割れて剥がれてきている。
勝機はこちらにある。
鱗が剥がれた今、ボスを守る盾は消え去った。
これまで殆どの攻撃を弾かれたが、もうその心配はない。
ラベルが更に号令を下す。
「追い詰めろ!」
電撃が走る。
Mgk最高峰の魔術師、ローレウスの魔法だ。
電撃は増幅されてボスに感電する。
体が焼かれ、ボスが悲鳴を上げた。
今がチャンスだ。
「よし、止めだ!」




