4 帰路
町を出るにつれて光が届かなくなる。
僕の家がある丘の麓に着いた時は月の光しか届かなくなっていた。
空を見上げてみれば満点の星空。試しに手頃な恒星をを線で結んで見るがどれも知らないものばかりだ。僕は星座には詳しいはずだが、あり得ないような位置に星がある。
空を見上げている内に家に着いてしまっていた。
だが、家を出たときにはなかったものがあるのだ。
人が倒れている。
大柄の男性だ。
背には両手斧、ジャケットのポケットにはナイフが一本。
見る限り壁役のプレイヤーだったのだろうか。
ランキングは僕とほぼ同じ。
装備の質を見る限りソロではない。ソロでは一人の分装備やアイテムを独占出来るが、この男性はランキングに対して装備の質が悪い。様子見で来たからこの装備なのかも知れないが不明な事が多いこの世界では完全装備で来るべきであろう。
そして、一番に目を引かれるのは男性の手首。そこからは、ぱっくりと裂けていて血が大量に流出している。
男性の顔の隣に浮かぶ体力ゲージはこれだけの血が大量に流出しているのにも関わらず減っていない。
だが、この世界に病気が存在するのなら傷から感染してしまう危険がある。
早く運び込まなければ。
男性の足と体を手で支え持ち上げる。
男性の体はその外見に反して以外と軽い。ステータスの筋力値が作用しているのだろう。
家の中のソファーに寝かせる。
今気付いたのだがこの男性は気絶しているようだ。
回復薬を飲ます。この回復薬は瞬時回復ではない。長い時間を掛けて回復するリジェネ効果をもたらすものだ。高いものだが人命が掛かっているのだから惜しんでは居られない。
もうすぐにでも起き上がっても不思議ではない。
今、男性の手がピクリと動いた気がした。




