57 health the waterking
「ウェーブ2、突破…………」
「今日がその日だ」
「明日からは、ウェーブ3…………」
「一ヶ月にも渡るウェーブ2攻略がついに終わる」
熱気に包まれる。
長い道のり。ウェーブ1の半分の時間ではあるが、起こったことであればウェーブ1とは比べ物にならない。厚く広大な出来事が渦巻いていた。
しかし、今日でそれも最後。明日からはウェーブ3。ウェーブ2の出来事は過去に過ぎ去るのだ。
「さあ、行こう!」
「我々には英雄が付いている!」
「あっ、言われてますよ」
「そうだな」
僕は答えた。出来るだけ目立たないようにするつもりだったが、そうも言ってられない。
「さあ、突撃だ!」
扉が勢いよく開けられる。
中に全員が突入した途端、扉は閉まってしまった。
同時に水が部屋の中に満ちる。
僕達は口の中に珠を放り込んだ。圧縮酸素である。原理は不明だが、口の中に入れておけば水の中でも苦しくない。
「おぉぉぉ」
重苦しい叫び声と共にボスが出現する。
[health the waterking]
ボスの体力ゲージの上に表示されるボスの名前。
体力が見えるのもスキルのおかげらしい。
生命識別。このスキルで読み取っていたのだ。スキル様様である。
「おおおおおおぉぉぉぉ」
魚とは思えない叫びを上げるボス。
同時にボスの周りに魔方陣が展開される。
「まじかよ!」
まさか、魔法を使ってくるとは思いもしなかった。魔方陣からは氷魔法「アイスニードル」が打ち出されたのである。
全員で泳いで避ける。
水面には僅かに水で満たされていない場所がある。そこに逃げ込み様子を見る。
水の中でも全く推進力を失わない氷の針。
「ミリル頼む!」
僕はミリルに叫んだ。
今なら、ボスを凍らして窒息させれる。
「分かりました!」
魔方陣が展開される。
基本的にミリルのコキュートスはどんなモンスターにも効果的だ。
殆どのモンスターは動けなくなるし、今戦っているボスのような水棲のモンスターであれば窒息も狙える。
瞬時に水が凍りつく。
実は、自分達も凍りついているのだが、手に持ったハンマーで簡単に氷を割る。
上半身は自由に動かせるので、割ることも簡単だ。
「よし! 全員、回復及び待機!」
ラベルが指示を飛ばす。
大して怪我もしていないが、念のため自動回復ポーションを飲んでおく。
「よし、待機____何だと!?」
いきなり氷に亀裂が走った。
しかし、亀裂と言っても真っ直ぐに直線を描いている。
まさか……
下を見ると、ボスが回転している。まるでドリルだ。
逆立った鱗が回転している。それで氷を割っているのだ。
先程の亀裂は恐らく魔法だ。確か、水魔法に水圧レーザーに近いものがあった。
「くそっ……… 全員警戒! 備えろ!」




