56 [回想]突破前日
ついに、この日が来た。
ウェーブ2攻略、そして僕達の復帰。
皆が僕達の帰りを待っている。
「勇気と慈悲の双聖」なんて呼ばれた。時には英雄であった。
そんな僕たちだけど、人間だ。
ザンジ、カイン達と同じ人間。人間では無くとも、心は「人」。そんな人たちと暮らしてきた。
「さあ、行こう」
「そうですね! さあ、ウェーブ2、突破しましょう」
僕達は進みだした。
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「おはよう」
「おはようございます」
「体の調子は良い?」
「大丈夫ですよ」
何気ない会話が交わされる。
僕達は少しの時間休暇を申請していた。
それも、ミリルの医者が言っていた事からである。
ミリルの治療で、少し気になった事が有ったらしい。戦闘がトラウマになっている可能性があると。
だから、少しの間は戦いから離れた方が良いと言われたのだ。
そうやって過ごしてきて一週間。
ミリルは戦闘にも参加するようになり、僕達はレベル上げをしていた。かなりの時間休んでいたため、少し他のメンバーからレベルが離れていたからだ。
「ようやく、明日はウェーブ2の攻略だ」
「ウェーブ3からは、ちゃんと攻略しましょうね」
「ああ」
僕は答えた。
あの事件以来、町にはギルドの自警団が見回りを行っており、殆どの事件は封殺されている。
知っていた事だが、この世界ではレベルが低いプレイヤーが多いらしい。
レベルの上げにくさにより、相対的に低レベルプレイヤーが増えていたのだ。
そのため、フェイムには低レベルプレイヤーが多い。だからこそ、自警団が役立っている。
自警団は高レベルプレイヤーが交代で行っており、殆どのプレイヤーでは歯が立たない。そのため、低レベルプレイヤーは犯罪を殆ど起こさないのだ。
高レベルプレイヤーなら尚更だ。高レベルプレイヤーは、ゲームをやりこんでいた人間が多く、ゲームが好きだったプレイヤーも多い。そのため、この世界では犯罪は起こさないようにしているプレイヤーが多いらしい。
「明日か…………」
「私達、勝てますか?」
「勿論。レベルは高い、相手の行動も分かる」
今回のボスは魚である。
ボスフィールドに水が張られており、その中で戦うのだ。
このフィールドはミリルのコキュートスと非常に相性がいい。
凍らせればボスの窒息を狙えるからだ。
「まあ、こんな休みも今日で最後だ。明日からは、攻略に力を入れる」
僕たちは家で休んでいたため、殆ど攻略は熱心にしていなかった。レベリングのみをしていたのだ。
そう、明日からが本当の戦いだ。
悲劇であったあの事件から二週間、僕達はデュエル大会を見送っていた。丁度ミリルの通院日だった。
非常に残念だった。
しかし、また一ヶ月後にあるのだ。
僕は決意を固めた。
絶対に世界で生き残ると。




