51 会議:2
「終わりか?」
「いや待った。まだだ」
なんだ、まだ終わりじゃないのか。いつも重要な事を伝えて終わりだったからな。
会議とは名ばかりに実際は世間話に近い。もっと人数が増えていればこんなことも無いだろうに。
そういえば、ラベルがミリルを呼んでいたな。ミリルのリハビリが済んだら呼んでみるとするか。ただ、それでも6人だ。
ここの通称は"解放の円卓"だ。円卓には程遠い人数ではある。
「そういや………えっと、サエコさんだったか?」
「えっ?あ、はい!」
「あんたのその耳………エルフか」
カインの発言にラベルが割り込む。
「カイン、どういうことだ」
「耳だ。あの細長い耳………エルフだ」
「…………道理で、魔法が強い訳だ。生産職なら、戦う事も不要なのに」
サエコさんはエルフだったか。
ゲーム時代、ソードマジックには種族の概念があった。キャラクリエイトの時に選べるステータスの一つが種族である。
人間は勿論、エルフ、ドワーフ、妖精、妖狐、吸血鬼、鬼人。様々な種族があった。今記した物の倍以上有るらしい。
ただ、ゲームでは人間を選ぶプレイヤーが多かった。それは、種族特性の存在からだ。
種族特性は、全ての種族に付与された、無効に出来ない能力だ。メリットとデメリットが付きまとう。
種族特性のお陰でこのゲームの種族選びが重要になったのだ。
エルフは「消費MP半分」「魔法スキル攻撃力上昇」の能力が有るが、その代わりに力パラメータが上がりにくくなり打たれ弱くなる。
ドワーフは「生産スキル強化」「物理パラメータ上昇率上昇」の代わりに俊敏パラメータが上がりにくい。
このようにメリットとデメリットがあるのだ。では、肝心の人間はどうなのか。
それは、「デメリット能力が無い代わりにメリット能力もない」である。つまり、どのようなプレイングでも良かったのだ。
エルフやドワーフ等はプレイスタイルが限定され、臨機応変に立ち回れない。だが、人間はプレイスタイルが限定されない。これが人間が多い理由である。
これまで僕は人間のプレイヤーにしか会ってこなかった。当然、異種族の絶対数が少ないからである。異種族のプレイヤーに会うのはこれが初めてだ。
最近では、魔法スキルに強力な物が追加されたため、エルフなどの魔法種族が多く必要とされているらしい。だが、それも僕達には無関係な事だ。
ちなみに、種族で最強と呼ばれるのは吸血鬼である。それは、その能力とステータスの高さが理由だ。
能力は「日中は全ステータス大幅ダウン」「夜中は全ステータス大幅アップ」である。更に、「吸血でHP 回復」まで付いている。夜中は必然的に全種族の中で最強となる。しかも、夜中は目も効くため夜の不自由もない。
だが、この世界で暮らすには少し不便かもしれない。




