50 緊急会議
久し振りに思える。この家には結構戻っているがそれでも久し振りに思える。あの戦いでかなり疲れた。
「ウッ………」
自室の椅子で僕は悲鳴を上げた。
戦闘での怪我の傷が開いてきたのだ。右腕の服を捲り傷を確認する。
「成る程………結構綺麗に割れてる」
右腕に大きな傷が出来ている。恐らく、あの男との一戦目で出来た傷だ。綺麗に切断の跡が残っている。装備品の効果で自然回復しているため大方塞がっているが今開いてきたようだ。
「痛いな………包帯でも巻いとくか」
自然回復はするものの傷が痛む。取り敢えず包帯を巻いておく。
「本当に、助けられたよ」
剣を見てそう呟く。
進化をして能力値の上がったこの剣には今回の戦いで助けられた。適正レベルまで到達していないせいか重く感じる。やはり、無理をしていたようだ。
右腕が傷とは別の痛みを訴えている。今日辺りはもう休んだ方が良さそうだ。
「おはよう………って、いないか」
ミリルの部屋に呼び掛けてみるがやはり戻っていない。リハビリの為にまだ病院に残っているのだろう。
「って………今日会談かよ」
「こっちの事も考えてくれ……」
メールで会談の予告が来ていた。しかも今日の九時から。
「って………今8時半!?」
大急ぎで着替えて家を出る。腕はもうそんなに痛まない。この装備品………正式名称「座天使の指輪」だが、自然回復量アップと破格の効果を持っている。少し強化すれば最前線のダンジョンでも耐えきれる筈だ。
その指輪の効果でもう腕の傷は完全に塞がった。元からこの体は強靭だが指輪の効果でさらにパワーアップしている。
「遅かったじゃないか」
「急に呼び出すな………」
いつもの部屋に入るといつものメンバーが居る。何ら変わらないがもう一人メンバーが増えているようだ。
「えっと………どちらさまで?」
「ああ、リクには言ってなかったな」
「紹介しよう。彼女は、我らが研究施設のトップ………あの男の解剖研究を任している」
「よ、よろしくです!」
研究施設のトップか………
「で、えっと………お名前は?」
「サエコと申します!」
サエコ、と名乗った彼女だが………さっきから、ずっと敬礼を続けている。リアルでは、警察官でもしていたのだろうか。
「さて、説明して貰おう」
「えっ、何を?」
「リク………分からんか!解剖結果だ!」
「ああ………そうか」
サエコは何枚かの資料を取り出し、読み上げ始めた。
「件の男は、アバター名は不明。何ら情報を入手出来なかったであります」
「解剖によると、体内からドーピング薬と見られる薬品を検知したであります」
「薬剤は市販の物ではなく、プレイヤーメイドの物だろうと推測。成分は、主にカルシウムや魔力石であります」
「また、現在スキル読み取りを行ってるであります」
やはりドーピング薬の効果だったか。異常に速い動きとあのリバウンド。予想通りだ。
「スキル読み取りとは………?」
「リク、それは私から説明しよう。スキル読み取りは、スキル"解析"を人体に向けて行えるようにしたものだ。本来プレイヤーに使うように出来ていない解析スキルは、スキル読み取りとなっても危険性がある。よって死体にしか効果を発揮しない」
「へえ…………」
スキル読み取り………
いつか僕も読み取られてしまうのだろうか。




